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公開日:2021/06/09
最終更新日:2021/06/09

GSMとは?婦人科でできる治療法をすべて紹介

投稿日:

GSMとは?婦人科でできる治療法をすべて紹介

閉経後、腟の違和感や痛み、不正出血などの不快な症状に悩まされていませんか?

年齢を重ねるとともに、デリケートゾーンの不快な症状に悩まされながらも、恥ずかしさや治療できることを知らずに受診が遅れてしまうケースも多く、ひとりでお悩みを抱え込んでしまう方も少なくありません。

GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)は、閉経を迎えた女性の半数がかかるといわれている疾患で、女性ホルモンの低下により生じるデリケートゾーンの不具合の総称です。

以前は萎縮性腟炎や老人性腟炎と呼ばれていましたが、2014年の国際女性性機能学会と米国更年期学会において、閉経後の女性のホルモン低下に伴うデリケートゾーンの変化と身体症状として提唱されました。

海外では積極的に治療が行われており、近年日本でも徐々にGSMに対する治療が導入されるようになっています。

この記事では、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の詳細と治療法についてご紹介します。

デリケートゾーンの不快な症状にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)とは

GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)は、閉経や体質などにより起こる泌尿生殖症状です。

まだ新しい概念なので一般的には馴染みのない疾患ですが、女性なら誰でもかかる可能性のある身近な疾患です。

ここでは、GSMの原因と症状についてご紹介します。

原因

年齢を重ねると、顔にシミやシワが現れるのと同じく、腟やその周辺も徐々に萎縮します。

これは、閉経により女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が減少することが原因です。

閉経すると、女性ホルモン分泌量がピーク時の約30歳頃と比べて、10分の1程度になってしまいます。

エストロゲンの分泌量が減少し、腟の萎縮が始まると腟内の潤いもなくなり乾燥します。すると、腟壁の弾力が失われペラペラの状態になってしまいます。

腟粘膜のコラーゲン減少により、腟のヒダが扁平化し外陰部まで痩せてくるなどの変化も現れます。

さらに、上皮細胞のグリコーゲンが減少することで腟内の乳酸桿菌も減少し、腟内のpH値が上昇。細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。

また、エストロゲン分泌量の減少のほかにも、子宮がんや尿路感染、子宮脱などの骨盤臓器脱などの疾患が原因で起こる場合もあるので注意が必要です。

症状

GSMは、腟や外陰部の組織がやせ、潤いが減少するために起こるさまざまな症状の総称です。

主に以下のような症状が現れます。

  • 腟の乾燥やかゆみ
  • 腟や外陰部の灼熱感
  • 尿失禁、尿漏れ
  • 頻尿、尿意切迫感
  • 繰り返す尿路感染
  • 腟炎
  • 腟のゆるみ
  • 嫌なにおい
  • 性交痛
  • 性交時の潤い不足
  • 性的欲求の低下
  • オーガズムの低下

正常な外陰部の包皮は手でめくれますが、GSMに罹患しているとクリトリスと包皮が癒着し、めくりにくくなります。そのため、触れるたびに痛みや不快感をおぼえて性行為自体が億劫になってしまうことも。

湿潤性が失われ小陰唇が萎縮し、肛門側が短くなるのもGSMの特徴です。ハリがなくなった外陰部は、色が変わったりするケースもあります。

また、GSMは腟や外陰部だけでなく尿路に症状が出るケースもあり、尿道口がはっきりと円形に確認できることもあります。

症状チェックリスト

GSMは、症状がいくつか同時に現れるのが特徴です。1ヶ月以上症状が続いているものにチェックしてみてください。

GSMの症状チェックリスト

  •  デリケートゾーンの乾燥を感じる
  •  デリケートゾーンのかゆみが継続している
  •  おりものが以前よりも少ない、または出なくなった
  •  おりもののにおいが気になる
  •  性交痛がある
  •  性交時に濡れにくさを感じる
  •  オーガズムを感じにくくなった
  •  腟口が狭くなった
  •  膀胱炎を繰り返す
  •  トイレを我慢できなくなってきた
  •  トイレを我慢すると漏らしてしまう

とくに症状が5つ以上ある場合は、GSMである可能性が高くなるので一度婦人科を受診してみるとよいでしょう。

GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の治療法

GSMは、慢性かつ進行性の疾患です。そのため治療を受けなければ治ることはなく、徐々に症状が進行していってしまいます。

日本でGSMの症状を訴え、実際に医療機関を受診する患者さんは25%程度であり、多くの女性が不快な症状を我慢しているのです。

ここでは、GSMの治療法についてご紹介します。

エストロゲンの投与

GSMは、エストロゲンの分泌量が減少することで発症する疾患です。治療の第一選択肢は、ホルモン補充療法(HRT)ですが、この方法では尿路症状の改善がされないばかりか、逆に悪化するケースもあるといわれています。

また、子宮がんや乳がん、血栓症などの既往歴のある女性にはリスクがあるため、投与できない場合もあります。

そのような方には、エストロゲン腟剤を腟内に挿入する、局所エストロゲン療法という治療が有効です。

しかし、腟剤を自分で腟内に挿入するのが難しいなどの欠点もあるため、医師と相談の上で治療を進める必要があります。

YAGレーザー(ヤグレーザー)

インティマレーザー

「インティマレーザー」などのYAGレーザー(ヤグレーザー)は、尿漏れ治療の臨床効果が高いことで知られており、GSMの治療にも使用されているレーザー機器です。

レーザーを腟内および外陰部、尿道などの患部に照射することで年齢とともに減少したコラーゲンの産生を促進。骨盤底筋を刺激して腟とその周辺を引き締めます。

切開せず副作用もほとんどないため、患者さんに優しい治療機器であるといえます。

以下はインティマレーザー治療の特徴です。

  • メスを使用しない
  • 日帰り治療が可能
  • 痛みや出血が少ない
  • 術後すぐに日常生活に戻れる

インティマレーザーは、腟粘膜を傷つけることなく安全に腟の奥深くまでムラなくレーザーを照射できるため、高い治療効果を引き出せます。

インティマレーザーの施術手順

1:腟口に麻酔クリームを塗布ししばらく待機

2:麻酔クリームを拭き取り腟内洗浄する

3:専用のアプリケーターを挿入

4:腟内にじっくりとレーザーを照射

施術後は3日間性行為を控えますが、飲酒や運動などの制限は一切ありません。

1回の治療で効果がみられるのは50〜70%の患者さんです。その後2回目、3回目と施術を受けるにつれて10%ずつ回復していきます。

インティマレーザーは、ロングパルスエルビウムヤグレーザーです。一般的なレーザーとは異なり、小陰唇にまで照射できます。これにより年齢とともに開いてしまった腟口が閉じるだけでなく、黒ずみまで改善します。

CO2フラクショナルレーザー

モナリザタッチ

「モナリザタッチ」は、顔などに使用されるCO2フラクショナルレーザーを腟粘膜に応用した治療機器です。

腟壁や外陰部に照射し腟粘膜の線維芽細胞を刺激、活性化することでコラーゲンの産生を促進します。

腟萎縮により上皮が薄くなり点状出血を起こしている腟内に、厚みと潤いを取り戻す効果があります。

以下はモナリザタッチ治療の特徴です。

  • 施術時間が短い
  • メスを使用しない
  • 日帰りでの施術が可能
  • 翌日から入浴可能

モナリザタッチは、腟内や外陰部にCO2フラクショナルレーザーを照射することで、女性ホルモン分泌量の減少で脆弱化した皮膚や粘膜を刺激します。

モナリザタッチの施術手順

1:外陰部に施術を行う場合、30分前に麻酔クリームを塗布

2:腟内に専用プローブを挿入

3:レーザーを数分間照射

術後、痛みや出血はほとんどありませんが、稀に下腹部痛や少量の出血が起こることもあります。施術後は、3日間性行為を避ける他に注意点はありません。

1回の施術でも効果を実感できますが、1ヶ月おきに2〜3回施術を行い、その後はメンテナンスとして1年に1回の施術をおすすめします。

腟のゆるみに対する臨床効果は、治療前と比べて1回目の施術で60%、2回目で40%、3回目で10%に軽減しています。

モナリザタッチの萎縮性腟炎症状の3回治療後の臨床効果

モナリザタッチ尿漏れ症状の3回治療の患者評価

高周波(RF)

サーミバー

「サーミVA」は、高周波(RF)を照射することで腟やデリケートゾーン周辺のコラーゲン産生を促進する治療機器です。

一定の温度で高周波を照射し、この熱効果によって線維芽細胞を刺激し、腟内分のたるみ改善や引き締め効果を促進します。

一般的に施術費用がリーズナブルな場合も多いため、機器を用いた治療がはじめての方でも挑戦しやすい施術です。

以下はサーミVA治療の特徴です。

  • 痛みがない
  • アメリカ最大の美容クチコミサイトで高評価
  • ダウンタイムがない

サーミVAは、腟内全体を包み込むように腟粘膜を再生します。さらに、外陰部全体にも有効で、皮膚組織や体内組織を活性化できます。

サーミVAの施術手順

1:腟に直径1cm程度のスティック状のチップを挿入する

2:腟内や外陰部などを撫でるように高周波を照射

ペンと同じくらいの太さのチップを挿入するため違和感はありません。高周波照射中はじんわりとした暖かさを感じます。

1回30分の施術で症状の改善を実感できますが、月に1回、計3回程度行うとより効果を得られます。

術後すぐにいつも通りの生活に戻れますが、性行為は術後1週間後からとなります。

HIFU

yoniHIFU

「yoniHIFU」は、最新の高密度焦点式超音波を使用した腟レーザー機器です。

HIFUは超音波が集束された部分のみ高温になるため、深部に作用し腟粘膜の表面を傷つけることなくコラーゲンの再生を促進します。

また、副次的な効果として尿漏れや頻尿、便失禁にも効果が期待できます。

以下は、yoniHIFU治療の特徴です。

  • 即効性と持続性がある
  • 照射時間が短い
  • 広範囲に施術可能
  • 全自動照射で技術による差がない
  • 経肛門的施術も可能

もともとはがんの治療に利用されていた技術を応用し、腟のタイトニングや肛門括約筋のタイトニングが可能になりました。

yoniHIFUの施術手順

1:ハンドピースに専用のゼリーを塗布して腟内に挿入

2:自動で360度回転しながら広範囲に照射

施術中は、軽く押されるような感覚で痛みはありません。施術後約3週間〜1年後に効果が現れ、個人差はあるものの1年程度にわたって効果が持続します。

1回の施術で効果を実感できる方も多いですが、気になる症状がある方は3ヶ月後と半年後に追加照射をおすすめします。

また、yoniHIFUは肛門からの照射も可能なため、尿漏れ、便失禁に対してさらに効果を期待できるのも特徴です。

経肛門的HIFUでは、肛門括約筋に直接刺激を与えることで直腸肛門や腟、尿道の引き締めにも効果を発揮。収縮力に関しては、経腟的HIFU以上に効果が期待できる治療です。

エムセラ

「EMSELLA(エムセラ)」は、座るだけで骨盤底筋を鍛えられる高密度焦点式電磁機器です。加齢や出産、閉経などによる骨盤底筋の衰えによる不快な症状を簡単に治療できます。

婦人科に通い慣れていない方は、施術台などに上がることに抵抗のある方もいるため、服を着たまま椅子に座るだけで治療できるエムセラがおすすめです。

以下は、エムセラ治療の特徴です。

  • 服を着たまま座るだけで治療が可能
  • 治療後すぐに日常生活に戻れる
  • ダウンタイムがない
  • 痛みがない

腟トレをしてみたものの続かない方や、手術をするほどではない軽度の症状、腟に挿入する治療に抵抗がある方にも人気の治療で、1回の施術で効果を感じられる方もいます。

エムセラの施術が向いているのは以下のような方です。

  • 咳やくしゃみ、笑ったときなのに軽く尿漏れする
  • 水の音を聞いたときや冷たい水を触ったとき、急に尿意を感じる
  • 運動をすると軽く尿漏れする
  • お風呂やプールから上がると腟から水が出る
  • 性行為が苦痛

エムセラは1回の施術が約30分程度と短く、週に1〜2回の間隔で6回程度施術を受ける必要があります。

施術後2〜3週間にわたって骨盤底筋の緩みが徐々に引き締まり、約95%の方が快適に日常生活を送れるようになりました。

治療中はピリピリとした感覚と骨盤底筋が収縮する感覚を感じますが、痛みはありません。

スターフォーマー

「スターフォーマー」は、電磁パルスアプリケーターによって下半身を強化できるHITS高密度テスラ磁気刺激システムです。

尿失禁や便失禁、産後や術後の骨盤底筋リハビリ、ED、筋力低下などに効果を発揮します。

以下は、スターフォーマーの特徴です。

  • 椅子に座るだけで治療が可能
  • 鍛えたい筋肉をピンポイントで鍛えられる
  • 泌尿器科疾患に効果的

下半身の筋肉を強化することで骨盤底筋を集中的に鍛え、GSMの原因を根本から解決します。

しかもスターフォーマーは、一般的なクリニックにて使用されているレーザー治療で効果を感じられないタイプの尿失禁や、便失禁など泌尿器科疾患にも効果を発揮し、ステイホームによる運動不足も解消。

激しい運動をする必要がないため、膝などへの負担もありません。

スターフォーマーを用いた治療回数は、8〜16回程度で最低1日おきに行います。

海外の論文でも尿失禁などへの有用性が発表されているので、安心して施術を受けられます。

まとめ

GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の原因と症状についてご紹介しました。

GSMは、閉経した女性の生活の質(QOL)を著しく低下させますが、今までは年齢のせいだと諦められていた疾患です。

初期の症状には、潤滑ゼリーや保湿クリームで潤いを補充することで対応したり、骨盤底筋体操を行うことで改善しますが、症状が進んでしまうと婦人科クリニックで治療を受けない限り改善しません。

デリケートゾーンや泌尿器系のお悩みは、なかなか人に相談しにくいですが、ひとりで悩まず病院へ相談に行ってみることが大切です。

記事監修

丹羽咲江
名古屋市立大学医学部
日本産科婦人科学会産婦人科専門医,日本性科学会 幹事,日本性科学会認定セックスセラピスト