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公開日:2019/07/09
最終更新日:2021/10/27

クリトリス全史【セックスにおけるクリトリスの存在と役割】

投稿日:2019年7月9日 更新日:

クリトリス全史【セックスにおけるクリトリスの存在と役割】

セックスにおけるクリトリスの存在と役割

セックスにおけるクリトリスの役割

セックスにおいて、腟とクリトリスによる快楽は様々な人物が研究を行っています。
 
1671年、ジェーン・シャープというイギリスの助産師によって「クリトリス」の謎が解明され、女性のクリトリスが重要な役割を示していることを解明し、セックスにおいて腟内だけの挿入行為だけが女性に快楽をもたらし、オーガズムに達するという仮説が立てられました。
 
それまで、古代ギリシャ・ローマでは、アリストテレスがいる時代から、女性の生殖システムである腟が、男性におけるペニスの役割をしていると考えられ、クリトリスの存在が否定され、本来の人間には持ちえないものとして考えられていました。
 
アリストテレスもその時代から、女性の射精現象について詳しい知識を持っており、女性の中でも特にブロンドの髪を持つ女性が、他の女性よりも楽しい思いをする、つまり気持ちよさを感じられるということを明言していました。
 
しかし、その一方で、なぜそのようなブロンドの女性が楽しい思いをするのか、女性の子宮から分泌される液はどのようなことから出されるのかという疑問もあったようで、以下のように記しています。

ジェーン・シャープによるクリトリスのオーガズム説

1671年に、イギリスの助産師であるジェーン・シャープという女性が、セックスにおけるクリトリスの役割を手引書という形で出版したことにより、これまで女性は挿入にのみオーガズムに達することが出来るということが信じられていたが、それを覆す内容となるクリトリスによってのオーガズムを提唱した。
 
手引書に記載された内容としては、女性は挿入によってのみオーガズムを感じるのではなく、クリトリスによって女性の性欲が高まり、性行為に対して喜びを見いだせること、そして、クリトリスは男性の生殖器のように伸びることや、それが伸びるときは女性の気分が高揚したときにあるという内容のものでした。
 
また、クリトリスが無ければ女性の性行為における喜びは感じられず、その喜びが無ければ子供を作ることも、生まれることもなくなるであろうという警告を促すものでした。
 
元々、古代ギリシャにおいても、シャープにおいても、男性にも女性にも、快楽や喜びが無ければ男女が性行為を行い、受精し、子供が生まれるということもないだろうという考えを持っていましたが、その中でも、女性がオーガズムを感じる部分は挿入のみであるということを覆すシャープの提唱は、後々、世で好評を博すことになるのです。
 
愛のために死のうとするものが生まれるのは、男女を問わず、性交時に愛の喜びやオーガズムを感じることが必要で、それは異常なほどの快楽である必要があり、それにはクリトリスの存在が必要だと提唱しています。
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ジェーン・シャープの考えに肯定的な意見も生まれる

1844年に、ゲオルク・ルートヴィヒ・コーベルトという科学者が、腟について独自の視点で語っており、その内容というのが、腟はペニスを受け入れる管に過ぎないというものだった。
 
これは、ただ単に腟を管として表現しているわけではなく、ヴァギナによる女性のセックスにおける快楽は考えられないというもので、これまでは腟に挿入することが、女性にとっての唯一の快楽であると考えられていた主張を覆す内容となっている。
 
科学者という立場から、腟におけるセックス時の快楽を生むということを否定しているもので腟はセックスをする際に男性器であるペニスを受け入れるものでしかないと主張しました。
 
「色白で女性らしいタイプの女性が、子宮から分泌液を排出し、一方で、色黒で男性的な見た目を持つ女性にはこのようなことが起こらない」
 
このように、女性にとって子宮から分泌される分泌液は、色白ではあるが、それらがなぜ分泌されるのか、何が女性たちにそのような分泌液を排出させるのか、よくわからなかったようです。

ジェーン・シャープに対しての否定的な考えも

肯定的な意見がある一方、否定的な意見も勿論生まれます。
エロスの権威とも言われるジークムント・フロイト氏は、1905年にクリトリスと腟を、体系的に情報を取りまとめようと活動し、ジェーン・シャープやゲオルク・ルートヴィヒ・コーベルトの意見に対して否定的な意見を出しています。
 
それは、女性が持つ性器には2つの種類があり、1つはクリトリス、1つは腟であるという考えで、この腟こそが男性にはない女性特有の性器であると主張しています。
 
そして、この腟こそが女性特有の性器であるが故、女性が成長していくなかで、腟としての喜びが最終着地地点だという考えを提唱しています。
 
腟という女性特有の性器での喜びを感じる前には、クリトリスという男性にもあるペニスのような役割を持つこの性器は、女性が成長をする過程の中で、最終的には必要のない性器であるという考えを持っており、最終的には腟による快楽こそが女性の本物の快楽であるという持論を出しています。
 
その中で、女性には自分のクリトリスで快楽を感じるのではなく、しっかりと男性についているペニスに関心を持ってほしいという思いも含まれているようです。
 
いずれにしても、クリトリスは女性器の中でも未熟なものであり、女性として成熟した真の快楽・絶頂を味わうためには、腟の存在が欠かせないということをジークムント・フロイトは唱えています。
 
そんなフロイトには、パトロンでもあったマリー・ボナパルト妃に対して「女性が何を望んでいるのか?」という悩みを打ち明け、30年以上にわたって女性の心理を研究している中でも、答えが見つからず、彼を悩み続けさせていたようです。

マリー・ボナパルト妃の答えは単純

悩みを打ち明けたフロイトが、抱える悩みは、女性が何を望んでいるかという壮大なテーマであり、その研究を長く続ける中でも、彼の中で答えは見つからず、悩ましい生活を送っていましたが、マリー・ボナパルト妃の答えは単純なものでした。
 
彼女が望むもの、それは「絶頂」でした。
 
マリー・ボナパルト妃が望むものは、セックスにおける「絶頂」であり、絶頂に達したいという簡単なものでした。
 
しかし、実際には彼女の夫からは性行為をぞんざいに扱われ、乱暴的な行為が繰り返されており、彼女が望むものは手に入らず、同性愛的な傾向にあった夫も、自分でもそれを望んでいない中でそのような行為を行っていたようです。
 
それには、同性愛者であり、女性との行為が嫌であることが原因にあり、それを結婚初夜に夫から聞かされたマリー・ボナパルト妃は「絶頂に達したい」という思いから、独自の研究を始めることになります。

マリー・ボナパルト妃が望んだ「絶頂」は腟内だけでは叶えられなかった

マリー・ボナパルト妃は、夫の告白から、自分自身の「絶頂に達したい」という思いを叶えるため、夫の補佐役など身近な人物からフランスの首相に至るまで、沢山の恋人を作り、自分の「絶頂に達したい」という思いを叶えようとしました。
 
しかし、マリー・ボナパルト妃は、性行為の中で腟内による絶頂を達成することは出来ませんでした。
 
当時の中世では、女性に悪い影響を与えるとして、クリトリスを排除するという撲滅運動が行われるなど、クリトリスに対しての否定的な社会となっていました。
 
そのクリトリスは奇形であり、女性器についていることで、悪い影響を与えると考えられていました。

「絶頂に達する」その想いで手術を行う

マリー・ボナパルト妃は、自分の「絶頂に達したい」という想いから、243人の女性に対して、性生活についてのインタビューやサイズ測定などを行い、自分自身と違う点や、インタビューの内容から自分なりの結論を出しました。
 
そして、それは医学雑誌に偽名で発表するまでに至り、その内容とは以下のようなものでした。
 
「腟内による絶頂の経験を持つ女性は、腟口から2.5センチ以内の場所にクリトリスを持つ女性である」
 
この自分自身の研究結果から、自分の腟口とクリトリスの位置が遠いことを認識し、腟口とクリトリスが2.5センチ以内になるように手術をすることを決断します。

昔からクリトリスを排除するという考えが続いている

これまでご紹介したように、クリトリスによる快楽を得ることや、研究結果から導き出されるクリトリスの役割は、無視できないものばかりですが、古代より、クリトリスを排除しようという考えや、切断するという考えは存在し、実際にそのような女性性器の削除という行為が行われてきました。
 
その理由には、「女性の性欲を抑制する」というものがあり、男性のペニスと同じように自慰行為を働く女性やその行為はヒステリーを引き起こすなどと考えられており、イスラム教が成立する前や、コーランにも残されているものでした。
 
これらは、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスによって記録されているものや16世紀にはフランス人の医師であるジャック・ダレシャンという人物がこの儀式について言及しており、19世紀には、ジョン・ハーヴェイ・ケロッグというシリアルで有名な人物が、クリトリスに対して石灰酸を塗ることを勧めることや、1858年には、同じく医師でイギリス出身のアイザック・ベイカー・ブラウンは女性患者に十分な説明をしないままクリトリスを切除するなど、クリトリスを排除するという動きがありました。

クリトリス撲滅戦線について

このような動きがある中、1918年にもクリトリス撲滅戦線が始まり、イギリスの下院議員でありパイロット、発明家、出版者など多くの経歴を持つノエル・ペムバートン・ビリング氏が、クリトリス撲滅戦線を打ち出しました。
 
彼が、フェイクニュースとして発行していた雑誌「Vigilante」によって、「レズビアンのエクスタシーによって、イギリスの最重要機密事項は脅かされた」という内容のものを記載しました。
 
この雑誌には、ドイツの王子がイギリスの47,000人の男女を抱えているというブラック・ブックの存在や、娼婦の軍隊の存在など、同じくフェイクニュースとして取り上げられ、さらに、その人物たちは、同性愛や、小児愛、子供たちに対しての処女陵辱行為など、考えられないような常軌を逸した罪を犯しているという内容のものが詳細に描かれていました。
 
しかし、彼は極右思想を持った人物として、ドイツ人のスパイに対しての恐怖や、反ユダヤ主義、陰謀説を唱えるなど、社会的にもそのような人物として知られていました。

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