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公開日:2021/02/22
最終更新日:2023/02/13

クリトリスの痒みや痛みにリンデロンは塗って大丈夫?特徴や注意点をまとめて紹介

記事監修

丹羽咲江
名古屋市立大学医学部
日本産科婦人科学会産婦人科専門医,日本性科学会 幹事,日本性科学会認定セックスセラピスト

投稿日:2021年2月22日 更新日:

クリトリスの痒みや痛みにリンデロンは塗って大丈夫?特徴や注意点をまとめて紹介
「清潔にしているつもりなのにクリトリスが痒い…」「排尿時にクリトリスに痛みがある…」といった、クリトリスの痒みや痛みのトラブルは、クリニックに行くのが恥ずかしくて放置していたり、自分で治せないかと思っていたりする方も多いのではないでしょうか?
そんなときに頼りたいのが、市販薬や以前クリニックで処方してもらった薬ですが、クリニックで処方される痒みに効く薬のひとつに「リンデロン」という外用薬があります。
家にリンデロンがあるけど陰部やクリトリスに塗って大丈夫?と疑問を持っている方に向けて、この記事ではクリトリスの痒み、痛みの原因とともに、リンデロンがどのような薬なのかを詳しくご紹介します。
クリトリスの痒みや痛みに悩まされているという方は、是非参考にしてみて下さいね。
クリトリスの痒みにオロナインを塗るのはおすすめしません。

オロナインを使用できるデリケートゾーンの疾患についてはこちらを御覧ください。
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クリトリスの痒み・痛みの原因

なかなか人に相談できないクリトリスの痒みや痛みには、どのような原因があるのでしょうか?原因は大きくはかぶれによるものと感染によるものに分けられます。
詳しくは「クリトリスが痒い痛い!かゆみ痛みの原因と予防について」でご紹介していますが、ここでは代表的な痒みや痛みの原因となる疾患をご紹介していきいます。

接触性皮膚炎

接触性皮膚炎とは、いわゆるかぶれのことで、外的刺激やアレルギー反応によって症状が現れます。外的刺激とは、生理中のナプキン、キツイ下着、おりものシートなどが原因となります。
特に生理期間中は雑菌が混ざった血液をナプキンが吸い込み、皮膚に接触するため注意が必要です。
接触性皮膚炎を予防するためには、蒸れやかぶれを防ぐ必要があります。デリケートゾーンになるべく刺激を与えないようにすることが重要で、肌触りの良い下着をつけることや、ナプキンやおりものシートをこまめに取り替えて清潔な状態を保つようにしましょう。
デリケートゾーンは皮膚が薄く敏感な部分なので、強い刺激を与えることでかぶれの原因となり、トラブルを招いてしまいます。
しかし、デリケートゾーンを清潔に保つと言っても、洗いすぎは逆効果になることがあるので注意しましょう。皮膚を傷つけてしまったり、皮膚を守る常在菌を洗い流してしまう可能性があります。
デリケートゾーンを洗うときは弱酸性のものやデリケートゾーン専用の洗浄剤を選び、優しく洗うように心がけましょう。

腟カンジダ症

腟カンジダとは、健康な人の皮膚や粘膜にも常在するカンジダ菌が原因で起きる腟炎で、何らかの要因によって腟内のカンジダ菌が異常繁殖することによって、発症します。
カンジダ菌は普段は他の常在菌とバランスが取れているので、大量増殖するようなことはありませんが、以下のような原因によって増殖して腟カンジダを発症することがあります。
  • ホルモンバランスの変化
  • 免疫力の低下
  • 抗生物質の使用
  • 高温多湿などの環境の変化
生理の前後や妊娠時などのホルモンバランスの変化や、寝不足や疲労による免疫力の低下時、抗生物質を使用したことによる常在菌の乱れ、夏場の蒸れなどによって腟カンジダを発症します。
腟カンジダの主な症状は、外陰部のかゆみと多量のおりものです。非常に強いかゆみや痛みと、ヨーグルトや酒かす状のおりものが特徴的です。
腟カンジダは一度発症すると再発しやすい疾患なので、発症しやすい方は、原因となる寝不足や疲労、抗生物質の使用などに十分気を付ける必要があります。

いんきんたむし

いんきんたむしは足の水虫から感染する可能性があると考えられている感染症で、次のような感染ルートがあると言われています。
  • 自分や家族の水虫
  • 共用で使用しているタオル
  • 浴場やプール、サウナ
  • トイレの布製カバー
  • 性行為
いんきんたむしは、主に性行為で感染する性感染症と違い、浴場やプールといった公共施設で感染してしまうこともあるので注意が必要です。
いんきんたむしに感染すると、円形または環状の発疹が出現し、その発疹が赤くなってただれてしまうこともあります。
痒みや痛みを伴う発疹で、痒みから掻きすぎてしまうことによって出血が起きたり、膿が溜まってしまうということもあります。
いんきんたむしの原因菌となる白癬菌は、付着しても付いた瞬間に感染するというわけではなく、付着後増殖するまでに約24時間かかると考えられています。
そのため、デリケートゾーンを清潔に保ち洗い流すことによって、白癬菌が増えないように感染を予防することが可能です。
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リンデロンはどんな薬?

リンデロンとは、炎症による腫れや赤みをおさえて、痒み、痛みを和らげる効果のある外用薬で、軟膏、クリーム、ローションが存在します。
過去にリンデロンを同じような症状で処方されたことがあり、家にあるから使いたいと考えている方は、リンデロンの使用には注意すべき点がいくつかあります。
ここからは、リンデロンはどんな薬なのか?について詳しくご紹介します。

リンデロンの特徴

リンデロンは、炎症をとるステロイドである「ベタメタゾン」が配合されています。
ステロイドの外用薬は、最も強いのが1群で、最も弱い5群までの5段階のランク付けがされています。
リンデロンにはリンデロンDP、リンデロンV、リンデロンVGの3種類があり、それぞれ以下のようなランクになっています。
  • リンデロンDP…2群
  • リンデロンV…3群
  • リンデロンVG…3群
リンデロンDPがリンデロンのなかで一番の強さがあるので、手足や体幹などの皮膚が厚い部分に使用します。
リンデロンV、リンデロンVGは皮膚が薄い部分や、小児、妊娠している方にも大量または長期間でなければ使用することができます。

リンデロンの種類

リンデロンには、剤形の異なる3つの種類があり、軟膏、クリーム、ローションに分けられ、それぞれ使用目的や成分が異なります。

軟膏

軟膏は油分が含まれているので、皮膚を保護するという作用が強く、保湿性に優れています。肌の弱い方に向いている刺激性が少ないタイプで、膿んでいる患部や乾燥している患部などに幅広く使用することができます。

クリーム

クリームは水と油を混ぜ合わせて精製されていて、軟膏のようにべたつきがないので、軟膏に比べると使用感が良いと感じる方が多いようです。一方で、水や汗で簡単に流れてしまうので効果が出ないこともあります。さらに薬の基材に水分が多く含まれているので刺激性が強く、傷口に塗ることで痛みを伴うということもあります。

ローション

ローションはさらっとしていて使いやすく、頭皮など薬を塗りにくい場所でも使用することができます。クリームと同様水や汗で落ちやすいので、効果も落ちてしまうという点はデメリットと言えます。アルコールにアレルギーがある方は注意が必要です。

効能・用法

リンデロンには、皮膚の炎症をおさえて痛み、赤み、発疹、痒みを改善させる効果があります。以下のような症状の改善に効果があると言われています。
  • 湿疹、皮膚炎群
  • 乾癬、掌蹠膿疱症
  • 痒疹群
例えば、植物でかぶれてしまったり、クラゲや虫に刺されてしまった、あせも、おむつかぶれといった、多くの原因に対する炎症や痒みの症状に用いられます。
通常1日1~数回適量を塗布し、症状により塗る量を増減することになります。

リンデロンを使っても良い疾患

リンデロンは、前述したようなかぶれ、虫刺され、あせもなどに使用することができますが、ウイルスやカビなどによる皮膚感染症には使用することができません。
そのため、クリトリスに使いたいときには接触性皮膚炎にのみ使うことができます。
感染症にステロイドを用いてしまうと、かえって症状が悪化したり、治りが遅くなってしまう恐れがあるため、禁忌とされています。
さらにデリケートゾーンは薬が効きやすく、体内に吸収されやすいため、ステロイド効果の強いリンデロンDPではなく、リンデロンVやリンデロンVGの使用が適しています。

注意点

リンデロンは使用する際にいくつか注意点があります。
  • 高齢の方は皮膚代謝が遅いうえに薬剤の残留時間が長いので、薬のランクを低くするなど慎重に用いる必要がある
  • 妊娠中は長期にわたる大量使用は避けたほうが良い
  • 使用前後に手をよく洗う
  • 使用頻度は1日1~2回にする
  • 目の周りなどに使用しないことや、目に入らないよう注意する
持病やアレルギーのある方は、医師の判断のもと使用する必要があります。高齢の方、妊娠中の方は特に注意が必要で、全身への影響が出てしまうほどの長期大量使用は避けたほうが良いと言えます。
また、使用前後はよく手を洗い、健全な部位にむやみに広げてしまうことも避けましょう。リンデロンを塗っても効かないと感じたら、使用量を増やしたり回数を増やしたりするのではなく、医療機関で医師の診察を受けましょう。
目に大量に入ると眼圧が上昇して緑内障を起こしてしまう可能性があります。

リンデロンの市販薬

ドラッグストアで手に入るステロイド塗り薬は、成分が限られているため3群のランクまでしか販売されていません。
しかし、リンデロンは3種類全てが医師の処方が必要な医療用医薬品に指定されているので、市販では買えない薬となっています。
リンデロンVは、同じ成分が同じ量で配合されている「ベトネベートクリームS(指定第2類医薬品)」があります。リンデロンVGと同じ成分の薬は現在販売されていませんが、同じような効き目がある軟膏として「ベトネベートN軟膏AS(指定第2類医薬品)」があります。
リンデロンDPは2群に分類されるので、通常市販では買えない薬となります。

副作用

副作用として挙げられるのは以下の点です。
  • 皮膚萎縮
  • 産毛が濃くなる
  • 皮膚感染症
  • 副腎障害などの全身症状
ほとんど副作用はないと言われていますが、まれに上記のような副作用が出ることがあるので注意が必要です。
長く続けることで、ステロイド特有の皮膚症状である、皮膚萎縮が起きることがあります。皮膚が白くなり静脈が薄く見え、へこんだ感じやしわができるという症状です。
ステロイドには抗炎症作用があるので、微生物に対する抵抗力を弱めてしまうという性質があります。細菌、ウイルス、真菌などが増殖しやすくなることによって、皮膚感染症が悪化することもあります。
全身症状はほぼないと言えますが、長期大量使用によってまれですが、糖尿病や高血圧、副腎障害などの症状が起こる場合もあります。

まとめ

クリトリスの痒み、痛みの原因とともに、リンデロンがどのような薬なのかを詳しくご紹介しましたが、参考になりましたか?
クリトリスの痒みや痛みにはさまざまな原因が考えられるので、以前処方されたリンデロンを使用したいと考えて安易に使用するのは危険が伴います。
接触性皮膚炎に関してはリンデロンの使用をしても問題ないのですが、用法、用量を守らないことによって悪化してしまったり、副作用が起きてしまうこともあります。
どうしてもクリニックを受診することができないという方は、明らかに接触性皮膚炎であり、感染症ではないとわかっている場合に限り、応急処置という意味でリンデロンを使うのは良いのですが、できる限り早めにクリニックを受診することをおすすめします。
リンデロンにも種類があるため、手持ちのリンデロンがリンデロンDPだった場合は、クリトリスの使用は避けたほうが良いので注意しましょう。
クリトリスの痒み、痛みに悩まされているという方は、早めにクリニックを受診して不安を解消させて下さいね。
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