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『大規模な腟の研究にて「正常」というものは存在しないことが示された』
2019年6月29日に英国の科学雑誌のオンライン版にて『大規模な膣の研究にて「正常」というものは存在しないことが示された』と題したタイトルの記事が掲載されました。研究内容としては、スイス・ルツェルン州立病院のアンネ・クレクラウ医師らが婦人科を受診した15~84歳までの657人の女性たちを対象に同意を得た上で性器の詳細な調査を行ったとされています。
クレクラウ氏らの調査項目としては、女性外性器のクリトリスや小陰唇、大陰唇、膣口の幅や長さの平均値、最小値、最大値を出しました。測定には、12人の婦人科医が行い、事前研修を行ったり、調査責任者の立ち会いのもとで最初の5人の調査対象者の測定が行われたり、衛生面に配慮し使い捨ての紙製のメジャーを使用したりするなど、徹底された上で行われた調査結果は詳細なものでありました。
657人の女性器の平均値、最大値、最小値の結果とは?
測定した部位 | 平均(mm) | 最大値(mm) | 最小値(mm) |
クリトリス(幅) | 4.62 | 1 | 22 |
クリトリス(長さ) | 6.89 | 0.5 | 34 |
腟口(長さ) | 27.91 | 75 | 6 |
大陰唇(長さ) | 79.71(右) 79.99(左) |
180(右) 180(左) |
12(右) 20(左) |
小陰唇(長さ) | 42.1(右) 42.97(左) |
100(右) 100(左) |
6(右) 5(左) |
小陰唇(幅) | 13.46(右) 14.15(左) |
61(右) 42(左) |
2(右) 1(左) |
会陰 | 21.34 | 3 | 55 |
(引用:Kreklau, Anne, et al. 2018: 1658.)
年齢と女性器の大きさの相関性の結果は?
結果からは、クリトリスには年齢との相関関係は見られなかったものの、小陰唇は年齢との相関関係が見られました。年齢が上がるごとに短くなる傾向があり、このことは女性ホルモンが影響していると思われています。
これらのデータから明らかになったことは、
女性器のサイズは上下左右バランスなど実にさまざまであり、正常なサイズは存在しないことです。
参考: Drenth, Jelto, 2001, De oorsprong van de wereld, Amsterdam: De Arebeiderspers.(=塩崎香織訳, 2005, 『ヴァギナの文化史』 作品社.)
Klein, Alice, 2018, “Biggest study of vaginas shows there's no such thing as 'normal'” New Scientist(https://www.newscientist.com/article/2173079-biggest-study-of-vaginas-shows-theres-no-such-thing-as-normal/ 2020年3月27日閲覧.)
Kreklau, Anne, et al., 2018, "Measurements of a ‘normal vulva’in women aged 15–84: a cross‐sectional prospective single‐centre study." BJOG: An International Journal of Obstetrics & Gynaecology 125(13): 1656-1661.