menu

公開日:2021/01/23
最終更新日:2025/01/19

失敗しないための小陰唇縮小手術とは?元日本美容外科学会会長が解説

執筆者

末武信宏
国立岐阜大学医学部
順天堂大学大学院医学研究科博士課程において学位取得,日本美容外科学会 認定専門医,国際抗老化再生医療学会 認定指導医

投稿日:2021年1月23日 更新日:

失敗しないための小陰唇縮小手術とは?元日本美容外科学会会長が解説
小陰唇縮小術とは、大陰唇の内側にある小陰唇というヒダを切除し、適度な大きさに整えるための手術のことです。
実は婦人科形成の相談の中でもっとも多いのが小陰唇縮小術で、10〜70代までの幅広い年代の患者さんが治療を希望しています。
現在では多くの美容外科クリニックで行われているポピュラーな手術のひとつですが、治療には医師の高度な技術が必要なうえ、患者さんの不安な気持ちを利用して法外な手術費用を請求するところもあるため注意が必要です。
では、患者さんはそのような美容外科クリニックに騙されないために、どうすればよいのでしょうか。この記事では、小陰唇縮小術を受ける上で知っておくべき知識をご紹介します。
小陰唇縮小術を検討している方はぜひ最後まで読んでみてください。

小陰唇縮小術の手術方法について

小陰唇をバランスのよい自然な形に仕上げるためには、大陰唇や陰核包皮などとの関係を考慮しなければいけません。技術のない医師が手術を行うと傷跡が目立ってしまうこともあるので注意が必要です。
ここではまず、小陰唇縮小術で使用される麻酔や切開方法についてご紹介します。

小陰唇縮小術で使用される麻酔について

小陰唇縮小術では、一般的にキシロカインという局所麻酔が使用されています。
キシロカインは、さまざまな部位に使用される局所麻酔で、有効成分のリドカインは強力で即効性があるという特徴がありますが、注入時に痛みを伴う患者さんも多いです。
そもそも小陰唇は痛みに対して非常に敏感な部分なので、酸性のキシロカインを注入すると、針を刺すときだけでなく麻酔が広がっていくときのpHの差でも痛みが生じてしまいます。
そのため、キシロカインを注射する際は、メイロンというアルカリ性の薬剤と混ぜて注射すると痛みを軽減させるのが一般的です。
小陰唇縮小術は、熟練した医師であれば20〜30分程度で終了する手術なので、実際には0.2%キシロカインでも十分に麻酔の効果を得られるとされていますが、念の為エピネフィリン(血管収縮や胃腸の弛緩、気管支や大脳の血管を拡張する作用がある)を添加した0.5%キシロカインなどを使用するケースが多いです。
ただし、患者さんの状態によっては高濃度の麻酔が必要となるケースもあります。
手術前から痛みに不安を感じている患者さんのために、笑気ガスを使用して鎮静、鎮痛を図るクリニックもあるため、手術を受ける前に確認してみるとよいでしょう。

切開方法の落とし穴

小陰唇縮小術を行っている美容外科クリニックのホームページでは、よくレーザーという言葉を見かけます。
レーザーと聞くと「最新」「最先端」の治療だというイメージをお持ちの方も多いですが、実際はレーザーという名称で患者さんによい印象を持たせるイメージ的な広告戦略の意味合いが強いので、注意しなければいけません。
小陰唇縮小術の切開方法は、メス使用とレーザー使用の2種類があります。
炭酸ガスレーザーはレーザーのなかで最初に開発されたもので、組織を熱エネルギーで蒸散させ破壊する性質があるため、レーザーを照射した部分はメスで切除した部分と比較して幅が広く、火傷の傷もプラスされてしまいます。
メスを使用する方法は医師の技術で仕上がりに大きな差が出るのは事実ですが、炭酸ガスレーザーは、メスで切開した傷よりもはるかに縫合した部分が醜く治癒も遅くなる傾向にあるため、使用しない医師もいるほどです。
今から30年ほど前に、有名な美容外科医が炭酸ガスレーザーを使用して、出血を抑制しながら切開する小陰唇縮小術を発表したことがありました。しかし、この手術法でもやはり傷跡が醜くなり、治りも遅かったため普及しませんでした。
これらのことから、炭酸ガスレーザーは皮下組織の切開やホクロの除去で組織蒸散を目的として使用するのには向いていますが、皮膚の切開には向いていないということがわかります。

術後縫合について

小陰唇縮小術を行っている美容外科クリニックの中には、溶ける糸を用いるため抜糸が必要ないと大々的にPRしているところもあります。
溶ける糸にはメリットとデメリットがあるため、それらを知った上で納得してから選択すべきです。
ここでは、小陰唇縮小術で使用される糸の種類と、傷口を綺麗に縫合する方法についてご紹介します。

小陰唇縮小術で使用される糸の種類

小陰唇縮小術で使用されるのは、ナイロン糸と吸収糸の2種類です。
一般的にナイロン糸は術後抜糸を必要としますが、傷跡が綺麗に治りやすく性行為などの生活面でもメリットが大きいという特徴があります。
それに比べて吸収糸は、抜糸の必要がないものの溶けるまでに3〜4週間を要するため、吸収糸を使った場合溶けるまでの期間は感染症予防のために消毒が必要であり、性生活などにも制限があります。
以下は吸収糸を使用するデメリットです。
  • 長期間溶ける糸が残存することで糸の痕が粘膜面に残る可能性がある
  • 糸が分解されるときに出る分解産物により縫合糸膿腫などの炎症が起こる可能性もある
吸収糸は、糸が体内の水分に触れていることで加水分解され構造がもろくなった部分のみが融解する仕組みになっているため、自然に糸がすべて溶けるわけではありません。
たしかに小陰唇縮小術を受けるために遠方から来院している患者さんで、どうしても抜糸に来られない方にはメリットもありますが、そうでない場合にはデメリットの方が大きくなることを知っておく必要があります。

傷口を綺麗に縫合する方法とは

小陰唇縮小術において、傷口を綺麗に治すためにはナイロン糸で縫合し、できる限り早く抜糸を行うのが基本です。
技術のある医師がしっかりとした手術を行えば、ナイロン糸を術後5日間程度で抜糸することが可能で、抜糸の翌日から入浴もできるようになります。
また、小陰唇縮小術の経験の少ない医師が縫合すると、非常に細かく縫合していることがあります。
細かく縫合してしまうと傷口の血流が阻害されて治りが遅くなってしまうだけでなく、糸の痕が醜く残ってしまうケースもあるため、小陰唇縮小術は経験豊富な医師に行ってもらう必要があるのです。
また、経験豊富な医師は手術前のデザインと1mmも狂わないように切開できるため、ラフに縫合しても傷口がピッタリと癒合して抜糸後は傷跡がほとんどわからなくなります。
皮膚の内側を縫うことに注力し、傷が少し盛り上がるように縫合すると、術後に傷口が突っ張ったときにも傷跡の幅が広くなり、傷跡を綺麗に縫合することができます。
これらの技術は形成外科独特の技術でもありますので、形成外科の経験のある医師の手術を受けるのがお勧めです。

小陰唇縮小術の料金について

小陰唇縮小術にも適正価格があるのをご存知ですか?
小陰唇縮小術は自由診療で手術費用が美容外科クリニックによって異なるため、あまり得意ではない手術の場合高めの料金設定にしているところが多いようです。
ここでは、小陰唇縮小術の費用についてご紹介します。

美容外科手術の料金の決め方とは

美容外科手術の料金にほとんどは技術料ですが、手術室の運営経費や材料費、スタッフの人件費なども含まれています。
  • 技術料
  • 手術室の運営経費
  • 材料費
  • スタッフの人件費
  • 麻酔費用
  • 通院再診費用
  • 薬剤費用
  • 抜糸費用
  • 保証費用
小陰唇縮小術については、上記の費用をすべて含んで大体25〜30万円であれば適正価格であるといえるでしょう。

手術費用を釣り上げるクリニックの特徴

小陰唇縮小術を行っている美容外科クリニックの中には、オプション料金を悪用して法外な手術費用を請求するところがあるのも事実です
以下は、手術費用を釣り上げるクリニックの特徴をまとめたものです。
  • 手術が担当医によって高額になる
  • 安心麻酔と称して高額な麻酔費用を請求
  • 薬剤費用や診察費用、抜糸費用が別料金
  • 傷跡が早く治ると称して商品を売りつける
小陰唇縮小術の経験が豊富な医師でも、アフターケアを含めた手術費用は高くて30万円程度が適正価格だといわれています。

適正料金で小陰唇縮小術を受けるためには

100万円もの高額な手術費用を支払わなくても、安全で傷跡の残らない小陰唇縮小術は受けられます。
以下は、適正料金で小陰唇縮小術を受けるための料金の見分け方です。
  • 提示された料金が小陰唇縮小術の適正価格である25〜30万円から大きく外れている
  • 料金設定がわかりにくく明朗でない
  • やたらとオプションを勧めてくる
「通常の手術では強い痛みがある」「傷口を綺麗に治すために」とそれらしい説明をして高額な手術費用を妥当なものだと思わせ、ローンを組ませる美容外科クリニックは実際に存在します。
実際のところ手術に必要な薬剤や材料費は数万円程度なので、100万円近くの手術費用を提示された場合は他のクリニックで手術を受けるべきです。

小陰唇縮小手術で失敗しないために想定リスクを知ろう!

小陰唇の余剰な組織を切除するため、しょういんしん手術には想定されるリスクがあります。
ただし、このリスクをゼロにできるように手術だけでなく、正しい、創傷治療の知識、技術、ケアが必要となります。
小陰唇縮小手術で失敗、後悔しないためにも、想定されますリスクをお伝えします。

小陰唇縮小手術で失敗しないためのおすすめ情報①:局所麻酔によるリスク

キシロカインショック

美容外科手術での死亡事故のほとんどは、局所麻酔薬の大量投与によるものなのです。


過去にも大手美容外科クリニックの医師がわきが手術のため20代の女性に局所麻酔を大量に注射してキシロカイン中毒に患者が陥って死亡してしまったケースがありました。それが急性リドカイン中毒です。


歯科医療におきましても年間歯科で行う局所麻酔で小児の死亡事故が毎年報告されます。 キシロカインは有効な量と極量が近く慎重に投与すべき薬剤です。


しかし、麻酔薬の知識に乏しい医師や経験の少ない医師が 麻酔を安易に大量に投与して死亡事故を引き起こしたり、死亡事故に至らなくてもキシロカイン中毒を引き起こしたりすることが少なくありません。キシロカインの麻酔は1-2%という高濃度の製剤を使用しなくても0.2%でも十分に効くことを知らない医師が多く、麻酔にも安全性を追求されている麻酔専門医による施術をお勧めします。


麻酔薬であるキシロカインは塩酸リドカインといって 酸性のため麻酔薬自体が広がっていく際に痛みを生じさせます。 このためメイロンというアルカリ性の薬剤を混合させ中性にPh調整すると大幅に麻酔薬注射時の痛みが軽減されます。


治療を受ける際には使用する麻酔の濃度や量も担当医からしっかりと事前に説明を受けておくことが望ましいです。


小陰唇縮小手術で失敗しないためのおすすめ情報②:手術による5つのリスク

①局所の感染

外陰部は感染が起こりにくいため糖尿病などの基礎疾患を持っていない限りまず臨床的に問題になりません。
溶ける糸を使用して縫合するケースでは異物として長期間、縫合部に糸が残り感染源となりうるので、溶ける糸での縫合はお勧めはできません。

②出血、血種形成

外陰部動脈の枝のとても細い動脈が栄養血管として存在するため余剰組織を切除した後しっかり止血を行わないと出血したり血種形成することがあります。

③小陰唇、大陰唇の壊死

通常の手術では起こりませんが、小陰唇を過剰切除して基底部まで切除すると縫合部が開いてしまい壊死を起こすことがあります。
感染でも壊死は起こります。未熟な医師の手術で起こることがほとんどで専門医の手術後には起こることはまずありえません。

④縫合部不全、治癒遷延

フリーハンドで切除を行われた場合、縫合部がぴったりと一致しないと術後の縫合不全や創傷治癒遷延が起こります。

⑤小陰唇の形状不整

デザインが雑に行われたり未熟な医師による手術で形状がいびつになってしまうことがあります。
小陰唇縮小術のBEFORE AFTER

小陰唇縮小手術で失敗しないためのおすすめ情報③失敗例

小陰唇縮小手術の最も多い失敗例は、未熟な医師による手術によるしょういんしんの過剰切除で、小陰唇部位がくぼんでしまうことです。
基底部まで切除されてしまうと不自然な形状になってしまいます。

醜い縫合痕が残ってしまった

抜糸が遅れることも原因となりますが、溶ける糸での縫合が圧倒的にこの原因となっています。

切除断端がギザギザになってしまった

デザインのミスによることが原因です。切除断端がぴったりと一致しないと傷跡が汚くなります。

小陰唇縮小手術で失敗が起きる原因

①デザインが正確に行われていないこと
②麻酔による小陰唇部位の膨大を計算に入れていないこと
③経験不足の医師
④医師のセンスや技量に問題がある場合
です。
術後の創傷ケアに力を入れている医師は少なく、手術後も必ず通院していただき傷跡のケアが必要となります。抜糸期間は短い方が傷跡は綺麗になります。
私は抜糸は1種間以内に行うのが望ましいと考えます。

失敗しないためのクリニックと医師の選び方

女性にとって恥ずかしいと感じる部位の手術かもしれませんが、一生に1度の手術です。
手術の経験豊富で創傷治療が確実にできる専門医に手術を受けるべきです。
小陰唇は女性医師に!という気持ちは理解できますが、男性医師でもセンスがある医師や豊富な経験を持つ医師・術後のケアや、患者様の目線に立って手術や術後のケアをしっかり行ってもらえる医師を選んでください。
必ずしも女性医師が技量に優れているということはありません。(男性医師が技量に優れているということもないですが)
美容外科医としての臨床経験が最低15年以上の小陰唇縮小手術の臨床経験豊富な専門性の高い医師を選ばれることをお勧めします。
溶ける糸で術後の処置である抜糸の手間を省こうとするような医師は避けてほしいです。
術後は必ず傷の治癒状況を診察してもらう必要があり、傷跡が残らないようにするためにもナイロン糸での縫合を行い、1週間以内の抜糸が望ましいのです。

元日本美容外科学会会長が選ぶ小陰唇縮小のキレイなデザインと形とは?

あらゆる手術方法で25年以上小陰唇縮小術を行ってきましたが、
三角形に近い突出部位をなだらかなカーブに切除して円弧を描くようなカーブで最長の長さが0.5センチ以上で1.5センチ未満の形状の小陰唇が最も自然で美しい形状といえます。
小陰唇が全く欠如した状態は決して自然とは言えません。
小陰唇切除術ではなく、あくまでも小陰唇縮小術なのです。

注目クリニック

  • 腟レーザー
  • 婦人科形成