日本初、下半身美容に特化したクリニック「veary clinic」を開院した井上裕章医師。
井上医師は、美容とは全く異なる分野で医師人生をスタートさせています。井上医師が目指していたのは、「癌を自らの手で治すこと」でしたーーーー。
井上医師に癌専門の外科医から、下半身美容に特化した形成外科医になるまでのお話を伺いました。
Contents
癌との闘いから始まった医師人生
「人のためになりたい」「悩める人を笑顔にしたい」という気持ちが人一倍強い井上医師。東京大学医学部を卒業後、「癌を自らの手で治すことが、医者の究極形である」と考え、外科医の道を志しました。
医師になってから、常に日夜修練に励み、外科専門医を最短で取得した井上医師。その後はさらなる専門性を求め、性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を中心に外科診療を行う日々を過ごします。
Aさんとの出会い
一般に15年はかかると言われる「骨盤内臓全摘手術」を、たった6年で執刀するに至るなど、外科医としての将来を嘱望されていた井上医師。
彼に人生最大の転機が訪れたのが、ある40代の女性患者Aさんとの出会いでした。
近隣の内視鏡クリニックから、井上医師の勤務する総合病院へ紹介されてきたのがAさんでした。
検査を終えたとき、Aさんの直腸癌は進行はしていましたが、幸い、手術すれば完治が見込める状況でした。
そこで井上医師は「直腸癌が進行している状態です。入院してさらに検査を行い、すぐに手術をすることになるでしょう」と、いつものように病状の説明を行ったのです。
手術の日
そして、手術の日がやってきます。そこでAさんが切り出した言葉は、井上医師の耳を疑うものでした。――先生、やっぱり私、手術は受けたくないです
井上医師は、検査や外来のすべてに携わり、Aさんと十分な信頼関係を築いていましたが、手術を拒否する理由がまったくわかりませんでした。
「手術をすれば、完治できます。逆に言えば、手術をしなかったら、命に関わります」そのように説得しても、Aさんは首を縦に振りませんでした。
「わかりました。手術を受けなくても良い方法を考えましょう。ただ、どうして手術を受けたくないか、その理由を教えてくれませんか?」
最後に井上医師が問いかけるとAさんは思いつめたように切り出したのです。
――実は・・・、ずっと女性器の形に悩んでいて。手術をするときは裸になるでしょう?その時に見られるのがどうしても嫌で。
井上医師はこの返答に、ハンマーで頭を殴られたかのような衝撃を覚えたといいます。
「人は誰しも、命をもっとも大切に考えている」
これまで、このことを当たり前のように考えていたからでした。
「美にまつわる身体的コンプレックスは、時として命より重いものとなることがある――」
井上医師の価値観が大きく変わった瞬間でした。
価値観が大きく変わった井上医師はまず、女性器形成に関する国内外の文献を読みあさりました。
そして女性器形成という分野が、韓国や欧米では、すでに美容皮膚科のようにポピュラーなものであることを知ります。
そこでまず、Aさんを説得しました。
「医療には女性器形成という領域があり、毎日のように治療を受けている人がいます。まずは、そこでコンプレックスを解消して、そこから癌治療に入りましょう」
そして癌診療医でありながら、女性器形成クリニックへ紹介状を書くという異例の行動に出ます。
最初は戸惑っていたAさんも、井上医師の説得により、これを機にコンプレックスを解消しようと前向きになり、女性器形成手術についに踏み切ることになります。
そして女性器についての強いコンプレックスを解消したのち、癌手術も受けることで無事に癌も完治。
今では、Aさんは冗談で「癌になったおかげで、コンプレックスも解消できてよかった」と笑うまでになったのでした。
女性器形成分野への挑戦
Aさんとの出会い以来、井上医師は、下半身の美的な悩みを打ち明けてくる患者さんが想像以上に多いことに気がつくようになったそうです。おそらく、それまでもそのような患者さんはいたはずですが、癌治療に頭がいっぱいだったために、大きく受け止めることなく、聞き流してしまっていたのです。
下半身の美的な悩みを持つ患者さんと向きあうにつれ、「癌だけでなく、美的な部分も井上先生にお願いしたい」という声が日に日に増えていったと言います。
しかし、日本の美容医療の現状では、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関は存在しませんでした。
それぞれの分野に分かれて別個に診療されていることを知った井上医師は、それでは患者さんにとって最善の治療が提供できないと考えました。
そして、各分野の美容系クリニックでの修練を重ねるうちについに決断したのです。
「癌は自分でなくても治療する医者はいくらでもいる。しかし、この下半身美容分野は自分にしかできない。自ら立ち上げるしかない」
このようにして、井上医師の下半身美容分野への挑戦が始まったのです。
男女ともに幸せになるための治療を目指して
日本では、女性器形成領域において、お隣の韓国より10年程の遅れがあることを知り、井上医師は単身韓国へ渡ります。女性器形成分野の第一人者Dr.シムに師事し、女性器の外見だけでなく、腟内の形状までをも意のままに変化させる画期的な治療法を学ぶことになるのです。
腟内の形状を変化させる一番の目的は、性行為での満足度を高めることです。締め付けを強くしたり、意図的に隆起を作ったり、さらには女性側の感度を高めることまで可能となることを教わるのでした。
韓国で高等技術を体得した井上医師でしたが、日本で帰国後、ある違和感を抱えるようになります。
それは、「腟内の形状を自在に変えるという治療が、常に男性目線で語られていること」でした。
美容医療分野では先進的な韓国も、社会ではまだまだ男尊女卑の部分も残っています。韓国では、治療を受ける患者も、治療を行う医師も、その治療の目的の主役には男性がいることがほとんどでした。
――もっと男性を気持ち良くさせるにはどうしたら良いでしょうか?
――もっと男性から魅力的に思われるためには…
このように、実際に治療を受けるのは女性なのに、治療の目的はつねに男性主体で考えられていたのです。
井上医師はここで抱いた違和感から、Dr.シムに教わった技術を、一歩先へ進化させようと決意します。
「女性や男性のどちらかだけのための治療ではなく、男女ともに幸せになるための治療」
これが、井上医師が抱いた最終目標でした。
まずは、隆起を作るなどの腟内形成の際に、プロテーゼなどの人工物を使用することを一切やめ、ヒアルロン酸だけを使用することにしました。
プロテーゼを用いれば、確実に意図した形を作ることができ、男性側の感度は高まりますが、腟の湿潤度が下がったりと、女性側のデメリットも少なくないからです。
一方で、厳選したヒアルロン酸を用いれば、湿潤を保てるばかりか、湿潤性をさらに増すこともできます。
独自ブレンド技術「プレミアムショット」の誕生
しかし、ここで井上医師は一つの壁に突き当たりました。それは、ヒアルロン酸は、やはり形状を作るという点ではプロテーゼなどの人工物には敵わないということでした。
意図した高さが出せなかったり、術直後にはよくても、その後で形が崩れてしまったり…。
試行錯誤の末にたどり着いたのが、複数種類の硬さのヒアルロン酸を組み合わせる方法です。
さらに、部位や深さによって注入量を調整するという、独自のブレンド技術「プレミアムショット」を誕生させます。
これにより、人工物を用いるのと同等の形状作成が可能になったばかりか、人工物ではなし得なかった、細かなひだや凸凹までをも作成することが可能になったのです。
特に、Gスポットに隆起を出して女性側の感度を高める、いわゆる「Gショット-プレミアムショット-」では、ヒアルロン酸を粘膜下層の3層構造に最適化して注入し、Gスポットへの刺激を最大限引き出します。
しかも、浅い層へのヒアルロン酸の注入も計算し尽くされた量と構造で行うことで、男性への刺激をも高まるようになるのです。
こうして、井上医師の悲願である、「男女どちらをもおざなりにしない腟内形成技術の確立」が一つの完成形を得たのです。
「これが完成形とは思っていません。
ヒアルロン酸の質もさらに高まっていくでしょうし、私自身の技術や解剖学的知見も、まだまだ追求しなくてはいけないと思っています。
そして、さらにはこの技術を多くの医者に継承していくこともまた、医師としての私の使命です。
こうした治療の存在すら知らず、人知れず悩んでいる方もまだまだたくさんいます。
そうした方々へ、一つの解決策としてこの治療法を知ってもらう活動も続けていかなくてはならないと思っています。
立ち止まっている暇はないのです」
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