骨盤底弛緩障害の非弛緩に対する腟内ジアゼパム:薬物動態プロファイル(原題:Vaginal Diazepam for Nonrelaxing Pelvic Floor Dysfunction: The Pharmacokinetic Profile)
The Journal of Sexual Medicine, Volume 16, Issue 6, June 2019, Pages 763–766,
公開日:2019年4月19日
https://academic.oup.com/jsm/article-abstract/16/6/763/6966855?redirectedFrom=fulltext
背景
腟内ジアゼパムは、全身吸収に関する知識が限られているにもかかわらず、骨盤底筋緊張性筋痛症および骨盤痛の治療に頻繁に使用されている。
目的
腟内ジアゼパム坐薬の薬物動態および有害事象プロファイルを決定する。
方法
ジアゼパム濃度の反復評価によるプロスペクティブ薬物動態デザインを用いた。8人の健康なボランティアに、婦人科外来で10mgの混合腟内ジアゼパム坐薬が投与された。 10mgの腟内坐薬投与後、0分、45分、90分、120分、180分、8時間、24時間、72時間、および1週間後に血清サンプルを採取した。有害事象の発生は、ステップ交代法およびタンデム歩行試験、簡易錯乱評価法、数値評価を用いて評価した。ジアゼパムおよび活性型長時間作用性代謝物の血漿中濃度を測定した。薬物動態パラメータは標準的非区分的法により算出した。
結果
ジアゼパムの平均ピーク濃度(Cmax)31.0 ng/mLは、坐剤挿入後平均時間(Tmax)3.1時間で検出された。生物学的利用能は70.5%であり、平均的な最終消失半減期は82時間であった。テマゼパムおよびノルジアゼパムの血漿レベルは、それぞれ29時間で0.8 ng/mL、132時間で6.4 ng/mLでピークに達した。8人中3人の被験者が疲労を訴えた。
臨床的意味
腟投与されたジアゼパムの血清血漿濃度は低いものの、半減期は延長される。
長所と限界
長所としては、ジアゼパムの吸収と代謝に悪影響を及ぼす可能性のある臨床的要因を軽減することを目的とした、包含基準と除外基準の使用、および超高感度LC-MS/MSアッセイの使用が挙げられる。限界としては、健康な被験者による純粋な薬物動態学的研究を実施する代わりに、腟投与されたジアゼパムの有効性について言及していないことが挙げられる。
結論
ジアゼパムの腟投与は、標準的な経口投与と比較して、ピーク血清血漿濃度が低く、ピーク濃度に達するまでの時間が長く、生物学的利用能が低いという結果となった。医療従事者は、ジアゼパムの半減期が長いことから、慢性的な連日の投与により蓄積レベルが生じ、定常状態レベルに達するには最大1週間かかることを認識しておくべきである。このプロファイルは、理学療法や親密な行為への参加を可能にするため、断続的な使用を推奨するものである。