公開日:2019/08/11
最終更新日:2020/05/02

クリトリス全史【性の研究者に対する制裁−魔女狩り】

投稿日:2019年8月11日 更新日:

羽の生えた魔女が白いドレスを着ている

2003年に、シカゴのノースウェスタン大学にて博士号をチヴァースは取得しています。その後は米国で着々とキャリアを築いていくことになるはずでしたが、そこに登場したのが、魔の「ブラックリスト」です。

 

「トラディショナル・バリューズ・コアリション(伝統的な価値観を守るための連合会)」という名の宗教的なロビー団体が、なんと連邦政府の助成を受けて性の研究をしている研究者157名をリストにまとめていたのです。

 

そして、ネイティブ・アメリカンのトランスジェンダーやサンフランシスコのアジア系セックスワーカーに至るまでのこれまでの努力の結晶を、「猥褻(わいせつ)な研究だ」と糾弾しました。しかもリストには、マイケル・ベイリー(チヴァースの指導教官)の名前もありました。

 

すると、すぐさま米国立衛生研究所(NIH)はこの対応に乗り出し、リストに名前が掲載された研究者たちに対し、研究に関する説明を求めました。さらにすでに連邦政府の助成を受けている研究については、この研究が「国民にとってどのような医学的な利益が得られるのか」の追加情報を提供するよう求めてきたのです。

 

ペンシルベニア州選出の当時の連邦議会下院議員だったパット・トゥーミーは、2003年7月、関連予算案に対する修正案に基づいて、性的行動に関する4件もの研究の補助金の支給を中止しようとしていました。

 

しかもこの悪魔のような修正案は、賛成票があとわずか2票多ければ可決されてしまうところだったのです。

 

性の研究に対するこうした制裁は、性科学分野の若い研究者たちをまるで「魔女狩り」を逃れる魔女のように、次々と北部のカナダへ移住させました。

 

もちろんチヴァースもその1人でした。そして、後にロリ・ブロット(チヴァースの共同研究者の1人)もその一人でした。ブロットはカナダ出身ですが、2004年、ワシントン大学でポスドク(博士研究員)を終了しようとしているところだったのです。

 

今日では、彼女はブリティッシュ・コロンビア大学の「セクシャル・ヘルス・ラボ(性の健康研究所)」の所長でありつつ、産婦人科学科の教授という立場です。

 

実際、1400万ドルもの助成金を自身の研究費用として獲得しています。その内容は、「アセクシュアリティ(無性愛)は性的指向か」「癌は女性の性機能にどのような影響を及ぼすのか」など非常に個性的で多岐にわたっています。

 

また、同大学では彼女の研究によって、性的な悩みをマインドフルネスで解決するセラピーでの最前線の大学となりました。

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