腟レーザーのリスク・副作用とは?
2018年7月30日、腟レーザー治療などの「腟のアンチエイジング」に根拠はなく、やけどなどの様々なリスクがあるとFDA(米食品医薬品局:日本の厚生労働省にあたる公的な機関)のリスクがあるとする声明を発表しています。
「腟のアンチエイジング」は、顔などに使用する医療機器レーザーで,、腟内に炭酸ガスレーザー・高周波RF・超音波を照射して腟内の環境をを取り戻し、また照射して腟の一部の組織を切除し形を整える施術もある。更年期の症状における尿漏れ、尿失禁、腟の乾燥や性交痛の改善などの効果が宣伝され普及しています。
※NHKの「あさいち」でも腟レーザー治療が取上げられるほど、注目されていている最先端施術です。
腟レーザー治療によるリスクや副作用に関する報告書や学術論文をFDAが調査したところ「腟のアンチエイジング」によって腟にやけどを負った症例、傷跡ができた症例、術後にも性交痛が続く、また腟の焦燥感などの痛みの再発などの報告がありました。
※モナリザタッチ(腟レーザー)についてはFDAが2014年に承認した医療機器です。
腟レーザー治療にもリスクはある!婦人科医師に相談を!
「FDAは、子宮頸部や腟に前がん病変などの異常な組織がある場合や、女性器の(いぼ)の治療が必要な場合は、レーザーを利用した医療機器の使用を承認している。」とFDA長官のScott Gottlieb氏は話しています。また「腟のアンチエイジングや、乳がん治療後の女性に対する施術に対しては、医療機器の安全性と有効性をFDAは確認できていなく、腟のアンチエイジングは、極めて深刻なリスクがある」と強く警告しています。
FDAによると「腟のアンチエイジング」に使用する医療機器販売会社が行っている不適切なマーケティングや誇大広告を警告する通知を出したと報告があり、30日以内に通知の改善を行わなければ、罰則による締め付けも考えているとのこと。
「消費者をだます施術の誇大広告は悪質極まりない。施術を受けた女性がやけどしたり、施術の効果が期待できる患者から治療の機会を奪ってしまう恐れもある。すべての女性は、腟レーザー治療のメリットとリスク(副作用)について医師としっかり話合ってほしい」と言っています。
FDAは、今後も「腟のアンチエイジング」によるリスクや、医療機器販売会社やクリニック側の誇大広告などを監視していき、国民に正確な医療情報を提供していく方針を伝えています。
尿もれ、尿失禁、性交痛(セックス痛)、腟の乾燥、腟のゆるみなどの腟の悩みは産婦人科・婦人科へ受診しましょう。
肌だけでなく、いつまでも若々しくキレイにいたい!腟の若返りは、すべての女性が望むことでしょう。しかし、クリニック側や医療機器販売会社が誇大広告を打ち出すことにより「腟のアンチエイジング」のメリットとリスク(副作用)について適切な治療機会を奪うことにもなります。
たしかに腟のゆるみ、腟の乾燥は、女性ホルモン減少に伴う腟内の老化が原因です。腟内の細胞が活性化する腟ケアは欧米の常識でもあります。しかし「見た目も機能も若い頃に戻る、などといった消費者を煽るような表現方法が当たり前に出ているのが現状です。そもそも「腟のアンチエイジング」と言われている腟レーザー治療とはどのようなものなのでしょうか。
そもそも腟レーザー治療って?!
アメリカ形成外科学会(ASPS)によれば、35歳を超えると女性ホルモンが減少します。また閉経、母乳育児、化学療法、放射線療法などによって細胞がダメージを受け、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、腟内の状態が老化するため、腟内の乾燥や腟壁が弾力なくペラペラ状態になる。その症状を改善する腟レーザー治療は、腟の乾燥、尿もれ(尿失禁)、性交痛(セックス痛)などを緩和する施術、小陰唇の黒ずみを改善するレーザー治療と、性器の形をを変える美容手術に大きく分かれます。
「腟の乾燥」の治療法を「セックス時にローション(シリコンベース)を使用すると、滑りがよく長持ちし、腟内が擦れにくく炎症を起こしにくいのでオススメする」とノースウエスタン大学ファインバーグ医学部産婦人科のローレン・ストレイチャー臨床准教授(Prevention誌編集顧問委員)はアドバイスしています。
また腟に潤いをもたらすには、腟内の保湿クリームを使用することもオススメします。保湿クリームを塗ることで腟壁を厚く弾力を高めることができ、自然な潤いが得られやすいので、週2〜5回を塗布で効果が期待できます。
腟用のエストロゲン製剤も、安全性と有効性が高い施術法です。腟内に挿入して、潤いと弾力性を高める効果があります。腟の座薬もありますので、婦人科医に相談してみてください。
そのほか、FDAが認可しているCO2(炭酸ガス)レーザー治療は、腟内と外陰部の細胞を刺激し再生する効果をもたらすといわれています。
以外と知られいていない、腟ケアで気をつけないといけないことは、腟を洗いすぎることです。腟は強い自浄作用(正常はアルカリ性)があるため、洗いすぎる必要はありません。専用の石鹸で洗うようにしてください。
更年期特有の症状、尿もれ(尿失禁)、性交痛(セックス痛)、腟の乾燥や、腟のゆるみなどの悩みがあれば、婦人科の専門医に相談し、正しい診断を受けることをオススメします。それが腟レーザー治療を失敗しないための最善策だと思います。