閉経後の腟萎縮におけるヒアルロン酸: 系統的レビュー(原題:Hyaluronic Acid in Postmenopause Vaginal Atrophy: A Systematic Review)
カルロス・カンパニャーロ・M・ドス・サントス, MsC, マリア・ラウラ・R・ウッジョーニ, タミー・コロネッティ, PhD, ラウラ・コロネッティ, アントニオ・ジョゼ・グランデ, PhD, マリア・イネス・ダ・ロサ, PhD
The Journal of Sexual Medicine, 第18巻, 第1号, 2021年1月, 156-166ページ,
https://doi.org/10.1016/j.jsxm.2020.10.016
公開:2020年12月5日 記事履歴
背景
閉経後の血清エストロゲン濃度の低下は、外陰部および膀胱尿道部にいくつかの変化をもたらし、腟萎縮などの症状を含む更年期の泌尿生殖器症候群を引き起こす。
目的
腟萎縮におけるヒアルロン酸の効果を評価すること。
方法
以下の用語を用いて検索戦略を立てた: "ヒアルロン酸腟ゲル"、"腟エストロゲン"、"腟炎、萎縮"、"閉経後"。この戦略は、MEDLINE、EMBASE、Scopus、Cochrane library、Web of Science、Virtual Health Library (BVS)、Congress Abstracts、Gray Literature (Google ScholarとBritish Library)などの主要データベースで、2020年6月までに発表された研究を対象に使用された。
結果
検索戦略によって見つかった研究のうち、萎縮性腟炎/腟乾燥症、性交困難症、腟内pH、細胞成熟の結果を評価するためにシステマティックレビューを実施した。
結果
合計833件の研究が同定され、528件の研究がタイトルと抄録を読むために指示され、515件が選択基準を満たさないために除外された。合計13件の研究が全文を読むために選択された。335人の女性を対象とした5件の主要研究が基準を満たし、組み入れられた。これらの研究は2011年から2017年の間に発表された。研究にかなりの異質性が存在するため、メタ解析を行うことはできなかった。提示された結果は、エストロゲンの使用と比較した場合、ヒアルロン酸による治療は、上皮萎縮、腟pH、性交障害、細胞成熟という結果において有意差を示さないことを示唆している。
臨床への応用
ヒアルロン酸は、腟萎縮および性交障害の徴候に対する非ホルモン治療の代替となるようである。
長所と限界
この系統的レビューにおける研究の分析から、ヒアルロン酸は腟萎縮と性交障害の徴候の治療において、腟エストロゲンと同様の有効性を有することが示唆された。しかしながら、含まれた研究はデータの測定方法が異なっており、メタアナリシスの実施に支障をきたした。
結論
提示された比較から、ヒアルロン酸は腟萎縮症状の治療において、腟エストロゲンに匹敵する有効性、安全性、および忍容性のプロフィールを持つことが示唆される。ヒアルロン酸は、ホルモン治療を使用できない女性にとって、代替となりうるものである。