前庭神経症と腟マイクロバイオーム: 症例対照研究 (原題:Vestibulodynia and the Vaginal Microbiome: A Case-Control Study)
ドリーン・A・パンザレラMD、MPH、タチアナ・ペレスレニPhD、ジャッキー・L・コリアーPhD、クリスティーナ・コシスCNM、DNP、デビッド・A・ベイカーMD
The Journal of Sexual Medicine, 19巻, 9号, 2022年9月, 1451-1462ページ,
https://doi.org/10.1016/j.jsxm.2022.06.014
発行:2022年7月20日 記事履歴
背景
腟マイクロバイオームに関する近年の研究により、微生物叢および宿主環境との相互作用についての理解が深まってきているが、前庭症における腟マイクロバイオームの役割については不明な点が多い。
目的
本研究の目的は、前庭症患者と健常対照者における細菌および真菌のマイクロバイオームの差異を調査・検討することである。
方法
ストーニーブルック大学産婦人科外来にて、前庭症患者29名と対照者26名の腟内細菌叢を調べる症例対照研究を実施した。除外基準には、受診時に腟感染症の診断を受けていること、外陰部の既往診断または治療を受けていること、免疫抑制、ステロイドまたは抗生物質治療を受けていることが含まれた。参加者から腟スワブサンプルを採取した。DNAを抽出し、原核生物種については16S rRNA、真菌については内部転写スペーサー(ITS)の多様性アッセイのために送付した。症例および対照の人口統計学的特性は、レトロスペクティブなカルテレビューにより入手した。
結果測定
主成分分析(PCA)および線形判別分析の効果量(LefSe)を用いて、前庭症患者と対照の間の腟マイクロバイオームの操作分類学的単位(OTU)の相対的存在量の差異を同定した。
結果
乳酸桿菌種は、患者と対照の両方で優勢であった。16SおよびITS OTUのPCAでは、前庭症患者と対照群間のマイクロバイオーム構成に有意差は認められなかった。LefSeは、前庭症患者のサンプルと比較して、対照群ではビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、スネアチア属(Genus Sneathia)、およびレプトトリキア科(Family Leptotrichiaceae)の存在量が高いことを示した。ITSでは、アスペルギルス属が前庭症例よりも対照群で有意に多かった。
臨床的意義
これらの所見の臨床的意義をさらに評価するためには、さらなる研究が必要である。
長所と限界
本研究の長所には、真菌種の多様性に関するITSアンプリコン配列解析が含まれる。本研究の限界は、サンプルサイズが小さいことと人種的多様性の欠如である。
結論
本研究では、前庭症例の腟マイクロバイオームと対照群の腟マイクロバイオームとの間で、組成や多様性に有意差は認められなかった;しかしながら、データは、生物学的および臨床的意義についてさらなる研究を必要とする生物相の存在量の差異を示唆している。