齧歯類腟平滑筋の分子および機能的特性に対するエストロゲンの影響(原題:Effect of Estrogen on Molecular and Functional Characteristics of the Rodent Vaginal Muscularis)
The Journal of Sexual Medicine, 第10巻、第5号、2013年5月、1219~1230ページ、
発行:2013年5月1日
https://academic.oup.com/jsm/article-abstract/10/5/1219/6940277?redirectedFrom=fulltext
はじめに
腟萎縮は更年期障害の症状のひとつであるが、全身のエストロゲンの減少が腟平滑筋の構造と機能に及ぼす影響についてはほとんど知られていない。骨盤底障害の発生率は年齢とともに増加するため、エストロゲンが腟粘膜の分子組成と収縮性を調節しているかどうかを明らかにすることは重要である。
目的
本研究の目的は、外科的閉経の齧歯類モデルを用いて、エストロゲンが腟平滑筋の分子および機能的特性に及ぼす影響を明らかにすることである。
方法
3~4ヶ月齢のSprague-Dawleyラットに、偽開腹術(Sham、N=18)または卵巣摘出術(Ovx、N=39)を施した。手術から2週間後、動物にはビヒクル(Sham、Ovx)または17β-エストラジオール(Ovx)を含有する皮下浸透圧ポンプを皮下に埋め込んだ。1週間後に動物を安楽死させ、近位腟を収縮タンパク質の発現の分析と収縮力のin vitro研究のために採取した。測定値は一元配置分散分析とTukeyの事後検定(α=0.05)を用いて分析した。
主要転帰評価項目
収縮性タンパク質のタンパク質およびmRNA転写発現レベル、in vitroにおける腟収縮性の測定。
結果
卵巣摘出により、カルボキシル末端ミオシン重鎖アイソフォーム(SM1)およびh-カルデスモンの発現が減少し、KClに対する腟平滑筋の収縮振幅が減少した。エストラジオール補充により、これらの変化は逆転した。腟平滑筋の%値、アミノ末端MHCアイソフォームのmRNA転写発現、l-カルデスモン発現、および最大短縮速度に差は認められなかった。
結論
全身へのエストロゲン補充は、卵巣摘出ラットの腟平滑筋の機能的および分子的特性を回復させる。我々の結果は、更年期が腟平滑筋の変化と関連しており、それが加齢に伴う骨盤底障害の発生率増加の一因となっている可能性があることを示している。