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公開日:2021/02/22
最終更新日:2021/05/25

セラピストとしての倫理と基礎

投稿日:2021年2月22日 更新日:

セラピストとしての倫理と基礎

特殊な立場とも捉えられるセックスセラピストになるためには、定められた条件を満たし、正しい倫理観を捉えておく必要があります。

デリケートな問題を解決するためにも、性の専門職として正しい基礎を身に付けましょう。

セラピストに認定されるには

セックスセラピストは、もともと対人援助専門職として技能を身に付けている人が性に関する技能を身に付けることが望ましいとされています。そのため具体的には、医師、臨床心理士、保健師、助産師、看護師、その他医療職としての資格を有する者、あるいはこれらと同程度の技能を有すると思われる者のみが、資格取得の条件として日本性科学会に定められています。

 

もしこの条件に当てはまらない場合は、日本性科学会認定セックス・カウンセラーへの申請が可能となっています。

 

アメリカの性教育・セックスカウンセラー・セックスセラピスト協会では、より細かく条件が定められていて、セラピーに関するトレーニングと実習の下限時間に加え、態度や価値観に関するトレーニングまでもが含まれています。

 

日本では価値観や性に関する態度の実践はあまり行われておらず、不足しているポイントとも言われています。

セックスセラピストの当事者性にはデメリットもある

セックスセラピストが当事者性を持ってセラピーを行うことは、メリットとデメリットの両面があります。例えば、ある分野に関しては勉強をしなくとも実体験によって知識が豊富にある場合もあるでしょう。そうなればクライエントの状況を把握しやすく、信頼関係を築いた上でのセラピーが行いやすくなります。

 

しかしその半面、自身の経験に関する分野に関して過剰にこだわってしまう場合もあります。クライアントの問題が充分に把握できていない段階で、実体験に基づく解決方法を示して裏目に出てしまうこともあるでしょう。

 

同じ悩みを持つクライエントと過剰に親密になってしまう危惧もあります。他にも専門知識が偏りがちで、ゲイの男性が持つ悩みには詳しくても、レズビアン女性に関する知識がかけてしまうといったことも考えられます。

専門職としての倫理

医師や看護師などの対人援助職は権威ある専門家として仕事に当たります。対してセックスセラピストは、クライアントのプライベートな部分に踏み込むため、高度な倫理性が求められます。心理臨床家の職業倫理の原則は、主に以下の7つに分けられます。

 

第一原則:相手を傷つけない。傷つけるおそれのあるようなことをしない

第二原則:十分な教育、訓練によって身に付けた専門的な行動の範囲内で相手の健康と福祉に寄与する

第三原則:相手を利己的に利用しない

第四原則:一人ひとりを人間として尊重する

第五原則:秘密を守る

第六原則:インフォームドコンセントを得、相手の自己決定権を尊重する

第七原則:全ての人を公平に扱い、社会的な正義と公平と平等の精神を具現する

 

まず第一原則ですが、セックスセラピストに相談に来るクライアントは、セックスが上手くいかず、劣等感を抱いていることがほとんどです。そのため特に丁寧な言葉遣いによって心理教育を行うべきと考えられています。

 

第二原則に関しては、十分なトレーニングと上級者による指導を受ける必要があるとされています。日本ではセックスセラピーに関する教育機会が少ないことが課題だとも考えられています。

 

第三原則に関しては、セラピストがクライアントを性的欲求を満たすために利用するケースに関するものです。性的な問題を取り扱うためセラピストとクライアントとの性的な接触は非常に危険性が大きいと考えられています。

 

第四原則に関しては、セラピストがクライアントを研究対象として扱ったり個人的な感情論による一方的な教育を行うことのないよう定められています。

 

第五原則は、セラピストはクライアントの相談内容を原稿に書いたり誰かに話してはならないことです。セックスセラピーの分野が狭い業界であることから、すぐにクライアントが自分のことだとわかってしまうためです。

 

第六原則は、セラピストが得意な治療方法を押し付けず、クライアントに拒否権を与えることが重要であることを示しています。クライアント側が本心を言いにくい問題であることがほとんどのため、慎重に話を引き出す必要があります。もしカップルで相談に来ている場合は、男女それぞれの意見が食い違っている場合もあるでしょう。

 

第七原則は、性的に好みのクライアントとそうではないクライアントで待遇を変えてしまうことのないよう定められています。

性を扱う者としての倫理

性を扱う専門家として、特に問題視されるのがセラピストとクライアントの直接的な性的接触です。例えば婦人科医や泌尿器科医が診察として性器に触れることは特に問題はありません。

 

しかし、性機能不全のセラピーを行う上で、実地訓練として性的接触を行うことは明確に禁止されています。

セックスセラピーを行う上での基礎

セックスセラピーを行う上で、セラピストはセラピーを行う態度と治療の構造について正しく把握しておく必要があります。

セックスセラピーを行う態度

セラピーはあくまで患者が変わっていくのを援助することでセラピストが患者を変えることはできません。骨折した足にギプスを巻くことは出来ても、医者が骨の再生を出来ないのと同様です。

ただ、体の具合が悪くて病院に行くのと性の悩みを抱えてセラピストを尋ねるのとは大きな違いがあります。ただでさえ問題を持ち不安になっているのに、それが性に関するプライベートな問題だから尚更大きい不安を抱えていることを理解する必要があります。

 

その上でセラピストは、性の問題は多くの人が抱える他の悩みと同様で、当たり前に持っている悩みであることを伝えることが重要となります。

 

また、セックスセラピストを尋ねる人の多くは不安と共に自信を失っていることがほとんどです。自信を失っている姿勢に関しては、セラピストの接し方で緩和ができます。患者を理解しようとする姿勢、肯定的に捉える態度、患者への敬意の3つを忘れないことが重要です。

 

そして患者の話に耳を傾ける上で重要なのが、セラピストが先入観を持たないこと。特に性の分野は先入観を持ちやすいものです。自身の性に対する考え方を偏らせないように気を配れなければ、知らず知らずの内に説教してしまいかねません。

セックスセラピーの治療に関して

セックスセラピーの治療をする上で、場所・料金・時間に関して適切な知識が必要となります。

 

セラピーを行う場所は、患者が安心して自分の個人的な話をできる場所でなければなりません。そのためには独立した部屋が必要です。

 

しかし医療の現場では独立した部屋を用意するのが難しい場合もあるでしょう。その場合には他の患者がいない時間帯、スタッフが絶対に近づかないような配慮をした上で独立した部屋に近い状態を作るのが重要となります。

 

特に医療スタッフは患者のプライバシーに関して鈍感になりがちな傾向があるため、改めてプライバシーを守る意識が必要です。

 

セックスセラピーにおける現在の医療体制では、問題がない性機能障害に関しては保険がききません。そのため自費診療の形を取るか保険医療の中に組み込むかが問題となります。

 

ただ基本的には間所が料金を支払う自費診療が好ましいとされています。これは料金を支払うことで患者が問題を解決する姿勢になりやすいことと、セラピスト側が診療に責任を持ちやすいためです。

 

診療の1回の時間は、30~50分程度が目安と考えられています。特に自費診療で行う場合は1回の時間を一定にすることで、患者が落ち着いて自分の時間を使えると認識できます。

 

頻度に関しては、週1回から月1回の間が現実的です。特に初期は2週間に1度程度が望ましいとされています。これは、あまり間が空いてしまうと患者の変わろうとしている力よりも変わるまいとする力が勝ってしまうためです。ペースが掴めて診断が長引きそうな場合に、月に1回のペースに間を空けるのも可能です。

 

また、セラピーは予約制をおすすめします。セラピーは特別な目的を持って行うものなので、基本的には計画的に予約を取って行うものが望ましいとされています。

まとめ

セックスセラピストは患者の極めて個人的な問題に踏み込むため、正しい倫理と態度を持って接する必要があります。特に患者は大きな不安によって本心を話せない可能性も大いにあります。そうならないよう丁寧な言葉遣いと相手を肯定し、敬意を払う態度を示すことで心を開いて負担を緩和する必要があります。

 

また、性的な問題を解決する上でセラピストとクライエントが性的接触を持つことは禁じられています。患者を研究の対象と見たり、個人的な感情で説教のような形で話をしてしまうのもいけません。

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