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公開日:2021/03/18
最終更新日:2021/08/29

セックスレスが辛い!シチュエーション別のセックレスの原因と解決策!【医師監修】

記事監修

丹羽咲江
名古屋市立大学医学部
日本産科婦人科学会産婦人科専門医,日本性科学会 幹事,日本性科学会認定セックスセラピスト

投稿日:2021年3月18日 更新日:

セックスレス

今回取り上げるテーマはセックスレスについてです。セックスレスは男性・女性共に性機能不全によって解決できず悩むケースもあれば、不妊治療によっても起こります。カップルや夫婦が長期的に関係を続けていく上で大切なことなので、カウンセリングや治療に関しては慎重に、長期的に取り組む必要があります。

 

セックスレスと時代の変化

日本性科学会セクシュアリティ研究会は、2000年と2012年に40~79歳の男女を対象に性に対してのアンケートを取っています。2000年と2012年の結果で最も変化が大きかったのは、セックスレスの増加でした。

特に50代のセックスレスは加速していて、セックスが月に1回未満だった割合が2000年には45%だったのに対し、2012年には77%まで増加しています。

1999年にNHK研究班によって20代から40代の男女を対象に行った性のアンケートでは、男女が歳を取るにつれて性に関する意味付けが変化していくというものでした。男性は快楽やストレス解消といった目的や意味を持っているのに対し、女性は義務・不快・苦痛といった回答が30代を目安に増加しているのが目立ちます。

また、同居するカップルのセックスの回数が月に1回未満の割合は18.7%とかなり多い傾向にあります。そしてこのアンケートで興味深いのが、セックスレスの女性は男性がセックスをリードすべきと考えている割合が低い点です。

つまり、非セックスレスの女性の中には男性を中心にセックスが進むと捉えていて、拒否できていない層が一定数いると考えられます。

性別の役割についての意識が強いとカップルや夫婦の間でミスマッチが起こりやすく、セックスレスが起こりやすくなります。

女性性機能不全とセックスレス

女性の性機能不全は、大きく分けると3つに分類されます。性交痛障害、性的興奮障害。オルガズム障害の3つです。

40歳から79歳の男女を対象に取ったアンケートによると、女性の60%に性交痛があり、12%には性的興奮がなく、23~30%はオルガズムを得られていません。特に性交痛に関しては年代が上がるごとに割合もましていて、閉経の影響が大きいと考えられます。ただ40代でも、いつも痛い、大体痛い、時々痛いの回答全てを合わせると半数以上である57%が性交痛であることになります。

中年層のセックスレスにおいては、性交痛が大きく関わっていることがわかります。

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男性性機能障害と性欲低下障害

男子柄の性機能障害には勃起障害や膣内射精障害、性嫌悪障害などいくつかの種類がありますが、セックスレスに関連する問題として性欲低下障害があります。

性欲が急に低下してとまどう男性もいれば、パートナーに連れられて勃起障害と共に相談に来ることもあります。

性欲が急に低下してしまったケースでは、薬剤によるものが多くなります。降圧薬や抗うつ薬を使用していると性欲が低下してしまう場合があるためです。

パートナーに連れられて来たケースの場合、妻には興奮できないが他の女性に対しては性欲を感じてしまうことが多く、数年に渡ってセックスレスである可能性が高くなります。

この要因は2つあり、1つは妻に対して肉親のように思えてしまい、性の対象にならなくなってしまう場合があります。このケースでは妻を母親や妹・姉と同一に見て考えてしまうため、近親姦に対する恐怖やエディプス・コンプレックスが原因となっている場合が多くなります。(エディプス・コンプレックスとは、男性が母親に対して愛情を抱くと同時に父親に対して対抗心を抱いてしまう葛藤のこと)

もう1つは、普段は性欲を感じるのに、いざという時になると化粧を落とした妻の顔や肥満体型に性欲を失ってしまうケースです。

どちらの場合も長期的な精神療法が必要となります。

女性が感じている

セックスレスに関する症例と対応の例

エディプス・コンプレックスによる症例

夫婦仲が良いと両人が認めている夫婦がセックスレスになった。男性は1人っ子で、女性の理想にはいつも自分の母と似た人を想像し、パートナーに選んできた。

セックスレスの要因を探っていくと、妻を母と同一視していることが原因であることがわかった。男性は自己愛が強く、自分に似た子どもが生まれると妻の愛が二分されてしまう不安からセックスレスを起こしてしまっているのが根本の原因だった。

男性性嫌悪症による症例

2歳の男児がいる夫婦。交際期間にはセックスを楽しめていたが、妊娠・出産後はセックスレスとなって、1度も行っていない。妻がセックスを求めると険悪なムードになるので性の話題は避けていた。

男性によると、妻とキスをするなんてとんでもないと言う。性欲には問題がなく、週に3~4回マスターベーションを行っている。

パートナー側には問題がないと判断し、男性にはエスシタロプラム10mgを処方して、妻を性的な目で見て想像すること。マスターベーションは妻とする想像をして行うことを宿題として出した。

3週間後、妻との性的な妄想はなんとか出来るようになったが、マスターベーションは出来なかった。継続して妻を性的な目で見て想像をすることと、妻の昔の写真を使ってマスターベーションをすることを宿題とした。

さらに1ヵ月後、どちらの宿題も達成できたので、エスタシタロプラムを20mgに増量して、引き続き妻の昔の写真でマスターベーションをすることと、性器と乳房以外の素肌に触れることを宿題とした。

さらに1ヵ月後の来院では、マスターベーションは問題なくできるものの、腹部へのタッチだけは短時間になった結果となった。腹部へのタッチで妻が性的な反応を見せたのに嫌悪感が生まれてしまったため。最後の宿題として、妻の昔の写真で行うマスターベーションは継続しつつ、一緒に入浴し、背中を流し、胸を洗い、ペニスを洗ってもらうこと、カレンダーの排卵日に丸を付けて、その日に性交してみることを出した。

すると入浴時に勃起が出来て、そのままセックスに成功した。

セクシャルヘルス(SEXUAL HEALTH)

不妊治療とセックスレス

不妊治療が長期化すると、排卵日にしかセックスしない生活が続き、結果的に男性の勃起障害や男女ともに性欲低下に陥る危険性があります。排卵日にのみセックスをしていると、夫婦それぞれが自尊感情を失って、相手の性欲を引き下げてしまうためです。

複数の調査によって、不妊であることと不妊治療を受けることで負の影響を受けているのは女性の方とされています。この調査では性機能不全に陥る前の段階ですが、不妊治療が長期化すると性機能不全に陥る可能性が高くなります。

不妊治療でセックスレスに発展してしまう可能性があることはカウンセリングで常に触れておき、並行して心理療法を進めることも必要となります。

60代と70代の過去1年の性交頻度

日本性科学会セクシュアリティ研究会で2012年に実施した60~70歳の性行動に関する調査の結果によると、2000年と比較してセックスレスが目立ち、婚外セックスと男性のマスターベーションが増加しました。

性的欲求に関しては男女間の差が大きく、配偶者との成功を望む女性が60代で12%、70代で10%なのに対して、男性は60代で47%、70代で38%と非常に多い結果となりました。

配偶者との性交を望み、1年間の間で実際に性交があった女性は82%、男性は68%。性的な欲求不満を感じている女性が1割台でしたが、男性は4割台と多くなっています。

性交頻度に関しては、以下の表の通りです。

性交頻度

1年間で1回でも性交があった割合は有配偶者60代で34%、70代で19%。単身者は60・70代で12%。男性は有配偶者60代で45%、70代で31%。単身者が46%です。

単身者の男性は風俗の利用を含めますが、夫婦間のセックスと単身者を比較すると、単身syの方が前戯に時間をかけ、女性の肉体的・精神的満足度が高くなっています。

パラフィリア障害とセックスレス

パラフィリア障害とは、覗きや痴漢、露出行為による性的関心を強く持っている状態を指します。そのためパラフィリア障害は、犯罪行為から治療の現場に繋がってくることが多くあります。しかし一方で、パートナーの関係がパラフィリア障害によって上手くいかず、相談に来る場合もあります。

たとえば夫の性癖を妻が受け入れられず、嫌悪感を持ってしまうケース。もしくは妻との普通のセックスでは満足できないことからセックスレスになる場合もあります。

深刻な犯罪行為が起きてしまっている場合は、薬によって性欲を下げる治療を行うこともあります。ただ、犯罪や暴力に繋がっていないパラフィリア障害の場合はセラピストが中立な立場に立つ必要があります。犯罪や暴力に繋がっていない性的関心は尊重されて保護されなければなりません。

セックスを嫌がる女性

セックスし続ける関係性の維持とセックスレスの予防

セックスレスに関しては、カップルごとに背景が異なるため、対応方法は様々です。加齢による性欲の減少もあれば、うつ病が原因なこともあります。

セックスレスに関しては、長期的なセックスレスを解消するよりも事前に予防する方が簡単な傾向にあります。お互いが興奮できるセックスを掘り下げていくことで、カップルでのセックスに対する関心を高めやすくなるでしょう。

シチュエーション別セックスレスの症例と回答

症例1.妊娠後のセックスレス

子どもを妊娠・出産してから性欲がまったくありません。無理してセックスしていたものの、ここ数か月は夫に触れられるだけで嫌悪感を感じてしまいます。ただ夫には性欲があって、セックスレスが続くのがつらい、夫婦生活を続けるのが厳しいと言われてしまいました。

回答

出産や育児のストレスと、ホルモン異常によって性欲低下が起こることがあります。ただ、ここで無理に性交をしようとすると嫌悪感が増してしまう可能性が高くなります。そのため、性的なことを抜きにした触れ合いを増やすことから始めてみましょう。

そしてまずは、自分の気持ちを正直に打ち明けてみることをおすすめします。ホルモン異常と出産のストレスで一時的に性欲が低下していること、今後改善していきたい意思があること、普段感謝していることなどを真剣に伝えてみましょう。

症例2.初めてのパートナー、性交痛による悩み

初めてできたパートナーなのですが、性交時に激しい痛みがあります。付き合い始めは我慢していましたが、痛みによる恐怖が強くて挿入ができません。痛みを改善する方法が知りたいです。

回答

性交痛を一度感じると、その後の不安や恐怖が強くなり、悪循環が生じます。このまま性行為を続けてしまうと性に対する嫌悪を引き起こし、さらに性交が難しくなります。

性交は2人で行うものなので、まずはパートナーに激しい痛みがあって難しいことを理解してもらう必要があります。そして性交渉をせず、リラックスしてお互いの体に触れ合うだけの日を作りましょう。

自己訓練として、バイブレーターを使うことで慣れることができれば不安が解消され、痛みを軽減できる可能性があります。その際には潤滑剤も合わせて活用しましょう。

症例3.膣に物が入る恐怖によるセックスレス

性欲があって前戯では感じるものの、膣に物が入るとなると恐怖を感じます。物が入ろうとするとはじき出してしまうような感じです。

回答

膣からはじき出される感じということで、膣痙(ワギニスムス)の可能性があります。心理的な抵抗を減らしていく方法として、自己訓練をしてみましょう。潤滑剤を使って膣口を濡らし、同じく濡らした綿棒を挿入します。綿棒に慣れたら指、タンポンと、挿入するものを徐々に大きくしていきます。

 

 

参考文献

1)荒木乳根子.配偶者間のセックスレス化-2012年調査で際立った特徴.日本性科学会雑誌.2014:32(supple):7-21

2)日本性科学会セクシュアリティ研究会 編.カラダと気持ち ミドル・シニア版.三五館,東京,2002

3)荒木乳根子 他.2012年・中高年セクシュアリティ調査特集号.日本性科学会雑誌.2014.32(suppl.)

4)日本性科学会セクシュアリティ研究会 編.セックスレス時代の中高年「性」白書.harunosora.神奈川.2016

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