女性の生殖や性行為に何らかの支障をきたした状態が女性性機能障害(FSD)

投稿日:2019年9月14日 更新日:

「性機能障害(Sexual Dysfunction:SD)」というと、男性をイメージする人が多いかもしれません。

 

しかし、実は、女性でも性機能障害を抱えた人は多数存在します。女性における性機能障害を「女性性機能障害(FSD)と呼びますが、これはごくありふれた疾患のひとつで、アメリカでは全女性の43.1%がこの症状に悩んでいるとされています。

 

女性性機能障害(FSD)を特に発症しやすいのは、45歳から64歳まで。さらに、欧米人と比較すると、アジア人の罹患率の高さが際立っています。しかし、罹患率が高いとされるアジア人でありながら、治療期間を受診する日本人女性はごくわずかです。

 

女性性機能障害(FSD)の症状は、性的サイクルがうまく機能しないことが原因で、生殖や性行為に何らかの支障をきたすというもの。女性は、パートナーとの親密度が増すことで良好な性的サイクルを維持できるとされていますが、この性的サイクルのどこかでトラブルが発生し、うまく機能しなくなることが、女性性機能障害(FSD)の原因なのです。

女性性機能障害(FSD)の分類

女性性機能障害を分類すると、以下の4つに大別されます。

 

1)性交痛障害

性行為をするときに痛みを感じる性交痛障害はさらに、腟痙と性交疼痛症とに分けられます。腟痙は、腟が収縮して男性器を挿入できない状態で、性交疼痛症は、強い痛みがあって指などを挿入するのも難しい状態のことです。

性交痛治療についてはこちらを御覧ください。

 

2)性興奮障害

男性が性的興奮によって勃起するように、女性は性的興奮で膣が濡れてきます。しかし、性興奮障害があると、性的興奮を感じることができません。性行為をしたくても興奮しないため、膣が濡れたり、小陰唇が充血したりといった変化が現れず、性交時に痛みを感じたり、オーガズムが起こらなくなってしまいます。

 

3)性嫌悪症

性欲はあって、マスターベーションなどもできるのに、性行為への嫌悪感がある状態です。性行為をしたくない、セックスを汚いものとして感じるという関係性は、仲が良いカップルでもしばしば見受けられるものです。

 

4)オーガズム障害

これまでの性行為でオーガズムを感じた経験がない、マスターベーションではオーガズムを感じるのに性行為では感じられないといった状態を、オーガズム障害と呼びます。

 

こうした障害は、それぞれが独立して起こるものではありません。性交痛傷害がある人が我慢しながら性行為を重ねるうちに、性的意欲傷害になってしまうなど、それぞれの疾患が重なって発症しているケースもたびたび報告されています。

 

性機能に直結する非常に重要な問題でありながら、デリケートな部位であるがために疾患として認識されなかったり、症状があっても「医療機関を受診して治療すべき問題」という発想そのものがなかったりする人が多いのが、日本の現状です。

 

しかし、こうした症状の中には、カウンセリングや身体的な問題を取り除くといった治療で、問題の解決をはかれるものがあります。性行為に何らかの問題を抱えている場合は、まずパートナーとよく話し合ったうえで、専門の医療機関を受診することをおすすめします。

 

オーガズム障害がある方は腟レーザー治療感度アップ治療腟縮小手術をご覧ください

 

女性性機能障害(FSD)の原因と治療方法

こうした障害は、心理的な要因はもちろん、年齢に伴う女性ホルモンの急激な減少、服用する薬の副作用といった身体的な要因、パートナーの性機能障害などからも生じます。

 

これらを改善すること、是正することが症状の改善につながる可能性があるため、治療においては、これらの問題の改善または除外が中心です。

 

日本の女性性機能障害(FSD)のうち、もっとも多いとされているのが性交痛障害です。性交痛が出る原因として挙げられるのが、萎縮性膣炎や外陰痛症、何らかの感染、筋膜性骨盤痛症候群、陰唇皮膚炎、婦人科悪性腫瘍および内膜症・子宮筋腫といった婦人科良性疾患、膀胱痛症候群/間質性膀胱炎、解剖学的問題など。性交痛障害の訴えがあった場合はまず、これらの疾患にあてはまるかどうかの鑑別診断が行われます。

 

以下は、性交痛障害を大きく4つに分類したものです。

①萎縮性膣炎が性交痛の原因だと予想される場合

萎縮性膣炎が原因の場合は、エストロゲンをクリームや膣剤として局所投与したり、骨盤底のリハビリを行うことで血流障害が改善し、痛みが収まるとされています。最近は、膣へのフラクショナル炭酸ガスレーザー照射なども行われています。

 

②何らかの感染もしくは陰唇皮膚炎が性交痛の原因だと予想される場合

抗菌薬もしくは抗ウィルス薬の投与、陰唇皮膚炎へのステロイド軟膏の投与が行われます。

 

③婦人科悪性腫瘍などの婦人科疾患・処女膜閉鎖といった解剖学的問題が性交痛の原因だと予想される場合

それぞれの婦人科疾患への治療、処女膜閉鎖への外科的処置を行います。

 

④筋膜性骨盤痛症候群が性交痛の原因だと予想される場合

筋膜性骨盤痛症候群は、骨盤底筋群が脆弱したり、短縮・固縮したりして、膣・外陰・直腸・膀胱・骨盤に疼痛を感じる疾患です。トリガーポイント注射もしくはバイオフィードバックを含めた骨盤底リハビリテーションで治療します。

 

⑤以上の疾患以外に性交痛の原因があると予想される場合

外陰痛症候群や膀胱痛症候群/間質性膀胱炎等を含む慢性骨盤痛症候群、疼痛への恐怖心によって筋肉が収縮する膣痙攣が起こっていると考えられます。

 

性交痛障害がある場合は、まず低用量ピルの服用を数ヶ月中止して経過をみる、真菌への治療を試みるといった選択肢もあります。

 

さらに、性行為の際に充分な量の潤滑剤を使用する、潤滑剤のついたコンドームを使用するといった方法もあり、これで疼痛が緩和するケースも報告されています。

 

しかし、潤滑剤による疼痛のコントロールが不可能な場合は、性行為前に膣内にキシロカインゼリーを塗布したり、外陰部の洗浄に低アレルギー性の石鹸を使用したり、バイオフードバック治療を含めた骨盤底トレーニングをする必要があります。また、ダイレータ―(拡張器)で膣を拡張するといった方法もありますが、それでも痛みが緩和しない場合は、抗うつ剤や抗ケイレン剤といった慢性疼痛治療薬についても検討すべきでしょう。

 

膣痙攣が原因の場合、治療の主体は、骨盤底トレーニングと膣ダイレータ―による拡張訓練です。

 

性興奮障害、性嫌悪症、オーガニズム障害に対しては、性的意欲障害、性的興奮障害、少量の男性ホルモン剤を全身に投与したり、少量のPDE5阻害薬を服用したりすることがあります。

 

膣の性感が落ちてオーガニズムを感じられないといったケースでは、Gスポットへのヒアルロン酸注射や、膣の皮下のコラーゲンを造成させることで膣の引き締め効果を狙う膣高周波治療などがよいでしょう。

性行為がなかなかうまくいかないと感じている人は

性行為そのものが無理なわけではないけれど、なかなかうまくいかないと感じている人はまず、生活習慣を改善してみましょう。

 

定期的に運動したり、食事のバランスをとるよう心掛けたりするだけでも、効果があります。これは、女性性機能障害に罹患する確率は、肥満もしくはメタボリックシンドローム状態にある女性で高くなるとされているから。肥満やメタボリックシンドロームの病態が改善すると、女性性機能障害の症状も改善できます。

 

また、日ごろのストレスをうまく解消したり、十分な睡眠をとることも重要です。肉体的・精神的な過労を避け、交感神経が優位になっている日中と、副交感神経が優位になっている夜・休日の生活をうまくスイッチングするようにしましょう。

 

自分ではうまくスイッチングできないという人は、マッサージやアロマテラピー、趣味の世界などを通じて、リラックスする方法があります。小説や漫画、映画などの鑑賞によって、性的な創造性を高めておくのもよいでしょう。

 

さらに、パートナーとの関係を、「単なる家族」ではなく、「性行為をする相手」という視点でとらえなおすことも有効です。「お父さん」「お母さん」と呼び合ったり、子どもに添い寝したり、鍵のない寝室で寝るのはやめましょう。寝室に置いているテレビを取り払ってしまうのもひとつの方法です。

 

日ごろ、こうした努力をしているにもかかわらず、性行為での問題が解決できない、改善の方向に向かわないという場合は、専門の医療機関への受診をおすすめします。

 

性交痛の方は性交痛治療のページをご覧ください。

腟のゆるみや腟の乾燥が気になる方は腟レーザーページをご覧ください。

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