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公開日:2021/02/05
最終更新日:2021/05/26

スソワキガの手術について

記事監修

末武信宏
国立岐阜大学医学部
順天堂大学大学院医学研究科博士課程において学位取得,日本美容外科学会 認定専門医,国際抗老化再生医療学会 認定指導医

投稿日:2021年2月5日 更新日:

Contents

スソワキガの手術とは

スソワキガの手術とは
ダウンタイムが少ない治療法が開発された今ではほとんど手術を行うことはなくなりました。
臭い、汗、黄ジミの原因の汗腺や皮脂腺の破壊を過去には手術で行っていた時代がありました。
手術は外科的に 物理的に 汗腺や皮脂腺を取り除くことです。
1:剪除法・・・皮膚に切開を入れて皮膚を反転させハサミで汗腺を削除する
2:吸引法・・・皮膚に小切開を加えて吸引管を挿入して汗腺を擦りだし吸い出す。
3:稲葉式削除術(ローラークランプ法)・・・皮膚に小切開を加えて稲葉式削除器を挿入してローラーと剃刀の刃で皮膚を挟み裏側から汗腺を削いで除去する。
4:超音波法・・・皮膚に小切開を加えて超音波振動子を挿入して超音波により汗腺破壊する。
いずれの方法も少なからず皮膚の切開が必要。
皮膚を剥がすため、元に戻す処置として固定が必要になり術後の安静が原則でダウンタイムが大きな負担となる。

手順

1:手術する範囲のデザイン
2:キシロカインやマーカインによる局所麻酔
3:皮膚の切開を加える
4:切開部より皮膚を反転させるか削除するための機器の挿入
5:ガーゼで圧迫固定
6:ガーゼがずれないようにテーピング固定

Q1:手術では傷跡が残りますか?

A:切開を行う傷跡以外に固定する糸の痕、血種形成を防止するためのドレーン切開のための傷痕、そして植皮同様皮膚が薄くなるため色素沈着など、半年ほどは傷跡が目立つことも少なくありません。
壊死など合併症が起こるとかなり目立つ傷跡が残ることもあります。

Q2:治療後は痛みがありますか?

A:治療範囲により痛みは異なります。
広い範囲の除去を行えば痛みが少し出ますが小さな範囲での除去手術であれば強い痛みはまずありません。
ただし、術後に固定不備などで血種形成が起こってしまいますと強い痛みが出現することがあります。

Q3:入浴はいつから可能ですか?

A:固定が最低1週間ほど行いますので固定が外れてからになります。

Q4:手術後に飲酒は可能でしょうか?

A:手術当日は出血防止のため飲酒は控えていただきますが翌日からは可能です。

Q5:スポーツはいつから可能でしょうか?

A:治療の経過によりますが通常は術後2週間後から可能となります。

Q6:安静は必要でしょうか?

A:当日は必ず安静にしていただきます。
術後24時間は血種形成が起こりやすく血種形成がひとたび起こってしまうと皮膚壊死が起こる可能性が高くなります。
できる限り術後24時間は安静にしていただきます。

Q7:再発はあるでしょうか?

A:スソワキガはIラインの大陰唇部分の汗腺除去が手術では極めて困難でこの部分は臭いは殆んど除去できません。
再発というより臭いが残ってしまう部分があるということで少し気になる方もいます。
手術範囲が狭いほど血種形成や皮膚壊死などリスクは少なくなりますが臭いが残りやすくなります。
完全に除去した部分では臭いが再発することはありません。

Q8:副作用や後遺症などはありますか?

A:手術が最もリスクが高いのは 皮膚を剥がして治療を行うためです。
これは皮膚を栄養している毛細血管を切断して皮膚を皮下組織からいったん剥がすため血種形成が起こりやすく、皮膚壊死が起こりますと瘢痕拘縮などが生じてしまうことがあります。

Q9:スソワキガの手術ができる専門医がいますか?

A:ここ数年で美容外科医になられた医師はほとんどワキガ手術を行ったことがありません。
これは手術を行わない治療法であるミラドライ、ビューホット、BOTOX注射が普及して看護師主導の治療になりつつあるからです。
スソワキガの手術ができる医師は経験が最低でも10年以上ないとまず見つけることは困難です。
特に大手美容外科クリニックグループにはスソワキガ手術までできる医師は殆んどいないでしょう。

Q10:過去に手術を受けて目立った傷あとが残ってしまい臭いも残った場合はどうすればよいでしょうか?

A:再発や肥厚性瘢痕は確実に治療可能です。
再発の場合はリスクも少なく安全性も高い EL法が有効であると期待されます。
傷痕の場合は フラクショナルレーザーと成長因子導入を行う皮膚再生治療が有効です。
色素沈着の改善も可能です。

Q11:現在のスソワキガ治療の手術事情を教えてください。

A:現在では、BOTOX注射、ミラドライ、ビューホット、EL法などダウンタイムが少なく固定不要で治療が行えるようになってきたため手術を行う医療機関は殆んどありません。
また、手術を行える技術を持った美容外科医も少なくなりました。
現在の治療は EL法を除いてはミラドライもビューホットも看護師が治療を行う施設がかなり多くなってきてスソワキガそのものの治療に真摯に取り組む医師は極めて少ないのが現状です。
大変、残念なことですが、ワキガのメカニズムすら全く理解していない医師が看護師任せの治療に委ねるという由々しき事態が起こっています。

今ではレアケース!?すそわきがの外科的手術の方法や疑問点を解決!

今ではレアケース!?すそわきがの外科的手術の方法や疑問点を解決!
現在では皮膚を切らずに行える治療法が、いろいろと開発されており、すそわきがの治療としてはそちらを選択する人も多くなりました。
しかし以前は、すそわきがの治療には外科的な手術で、物理的に臭いの原因となる汗腺や皮脂腺を破壊していたのです。
今回は、現在ではレアケースとなりつつある、すそわきが治療としての外科的手術の方法と、さまざまな疑問点について説明します。

すそわきがの手術は方法によって4種類に分かれている!

すそわきがの手術、と言っても、その種類は1つではありません。
手術の方法によって4種類に分かれています。

1.剪除法(せんじょほう)

皮膚を切開してから反転し、臭いの原因となる汗腺を直接目で見て取り除いていく手術方法です。
汗腺を取り除く際は、医療用のハサミを使用する場合が多いようですね。

2.吸引法

皮膚を切開して、その切り口から「吸引管」を挿入し、汗腺を吸い出す手術方法です。
吸引管はかなり細いため、皮膚の切開が必要最小限で済み、手術後も傷跡が目立たないメリットがあります。

3.稲葉式削除術(ローラークランプ法)

皮膚を切開して、そこから「稲葉式削除器」を挿入して汗腺を除去する手術方法です。
稲葉式削除器には、ローラーとカミソリの刃が付いており、その2つで皮膚を挟み込み、皮膚の裏側から汗腺を削るようにして除去します。

4.超音波法

皮膚を切開し、そこから「超音波振動機」を挿入し、汗腺を除去する手術方法です。
超音波振動機の激しい振動により、汗腺や皮脂腺を破壊していきます。

すそわきがの外科手術はすべて皮膚の切開が必要!

すそわきがの外科手術には4つの方法がありますが、いずれも程度の差はありますが皮膚の切開が必要になります。
また切開した部分から何らかの器具を挿入し、皮膚を剥がしながら汗腺などを除去していくため、いずれも手術後には皮膚が元に戻るまで固定し、安静にしなければなりません。
この手術後に皮膚が元に戻るまでの時間、ダウンタイムにかなり時間が掛かってしまう点も、近年開発されたさまざまな治療法に対して、外科的手術によるすそわきが治療の大きなデメリット、と言えるでしょう。

すそわきがの外科的手術による治療に対する疑問点にお答えします!

すそわきがの外科的手術による治療に対する疑問点にお答えします!
 
4種類の方法がある、すそわきがの外科的手術による治療ですが「皮膚を切開して手術する」という基本的な方法に違いはありません。
手術する範囲を決め、キシロカインやマーカインによる局所麻酔を行い、皮膚を切開して施術。
施術後はガーゼで圧迫固定し、その後はガーゼがずれないようにテーピング固定するのが、すそわきがの外科的手術の一連の流れです。

すそわきがの手術をすれば再発はほぼないが施術が困難な場所もある!

すそわきがの外科的手術は、汗腺を完全に取り去れるので手術をした場所の臭いは消え、再発もありません。
しかしIラインの大陰唇部分の汗腺は、手術で除去するのが極めて困難なため、この部分は臭いが残ったままになってしまいます。
また手術の範囲が狭いほど後遺症の可能性は低くなりますが、汗腺を除去しきれずに臭いが残ってしまう可能性は高くなります。

臭いが残ってしまった場合は「EL法」での再治療が有効!

すそわきがの臭いを手術では完全に除去できなかった場合は、切らない治療法の1つ「EL法」での再治療が有効、と言われています。
また手術の後遺症としては、傷跡が残ってしまったり肌に色素が沈着してしまったりする場合がありますが、これらも再治療を受ければ改善可能です。

手術後は回復までに時間がかかるのがデメリット!

すそわきがの手術のデメリットとしては、皮膚が元に戻るまで時間がかかる点があります。
手術当日は安静にしていなければなりませんし、少なくとも手術した場所を1週間は固定しなければなりません。
そのため入浴も手術から1週間はできませんし、スポーツなどの激しい運動も2週間は控える必要があります。
手術後に無理をすると、固定が外れてしまい「血種形成」が起きて強い痛みが現れたり、皮膚が壊死してしまったりする可能性が高まりますので、手術跡が回復するまではできるだけ安静にしているべきです。

すそわきがの手術ができる専門医は数少ない存在!

現在では皮膚を切らない治療法である「ミラドライ」「ビューホット」「ボトックス注射」といった治療が主流となっているため、ここ数年で美容外科医となった医師は、すそわきがの手術経験はほとんどないでしょう。
最低でも10年以上の歴史がある医療機関でないと、すそわきがの手術ができる医師を見つけることは難しいです。
歴史があっても大手の美容外科クリニックグループなどでは、医師の出入りも激しいため、手術ができる医師はまず見つかりません。

すそわきがの手術を受けたければ長年の経験を持つ医師を探すべし!

すそわきがは、現在では皮膚を切らずに治療する方法が主流となっているため、手術を行う医療機関がほとんどなくなってしまっています。
しかも手術を行えるだけの経験と技術を持った美容外科医も、少なくなってきています。
逆を言えば、手術が行えるだけの医師はそれだけの経験と技術があり、すそわきが治療にも熱心に取り組んでくれる存在、と言えます。
どうしてもすそわきがの手術を受けたい場合は、根気よく手術可能な病院を探し、信頼できる医師を見つけるしかありません。
しかし苦労して手術ができる医師を見つけられれば、手術だけではなく他の治療方法もしっかり行ってくれるはずですので、少し苦労して探すだけの価値は十分にあるはずですよ!

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