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公開日:2021/11/04
最終更新日:2021/11/09

腟炎治療における低強度レーザーの臨床効果観察

投稿日:2021年11月4日 更新日:

yoniCAREヨニケア 家庭用腟ケア器

腟炎の治療における低強度レーザーの臨床効果を検討する

当院の婦人科クリニックの2015年1月から7月の患者60名を研究対象とし、乱数の原則に 従って観察群と対照群に分け、各群30例としました。
対照群の患者にはメトロニダゾールの坐薬を投与し、観察群の患者には対照群に準じて低照度レーザーを照射。
10日間の治療を継続した後、両群の臨床症状の改善状況、臨床効果、6ヶ月間の治療後の再発率を比較しました。
結果 観察群では、治療後に白斑が3例、手根痛が4例、腟の灼熱感が2例、腟壁の赤い充血が2例で、対照群で はそれぞれ10例、12例、11例、8例でした。
観察群のすべての臨床症状や徴候の陽性率は対照群のそれより明らかに低く、その差は統計的に有意でした(P<0.05)。 観察群の治療効果率は 96.7%で、対照群の76.7%より高く、その差は統計学的に有意でした(P<0.05)。
6ヶ月間の 治療後、観察群の再発率は6.7%で、対照群の43.3%より低く、その差は統計学的に有意でした(P<0.05)。
結論 腟炎の治療に低強度レーザーを使用すると、明らかに臨床症状を改善し、臨床 効果を高め、再発率を低下させることができ、明らかな副作用はありません。臨床現場で普及さ せる価値があると思われます。
科学技術の発展に伴い、ますます多くのハイテク手法が臨床治療に取り入れられています。
レーザーは、一方向性が良く、指向性が良く、コヒーレンスが良く、エネルギーが集中するという利点があります。 強いレーザーの熱効果により,照射された組織の温度が急激に上昇し,気化することがあります[1]。

低強度レーザーの照射による局所的な温度上昇は0.75℃を超えず,組織に不可逆的なダメージを直接与えることはありません。出力エネルギーが低く,光熱効果がないのが特徴。
また、低レベルレーザーや低出力レーザー、低エネルギーレーザーとしても知られており、医療分野での応用範囲が広く、非外科的治療に用いられることが多々あります[2-4]。
腟炎は、妊娠可能な年齢の女性によく見られる腟の感染症です。
重症化すると、身体の免疫系にダメージを与え、不妊症、早産、胎児の奇形などの原因となります[5-7]。 現在治療されている薬剤には多くの種類がありますが,その多くは効果が乏しく,治療期間も長く,完治が難しいとされています[8]。
本研究 では、低強度レーザーと薬剤を併用することで、一部の腟炎を治療し、その効果を以下のように報告しました。
 

1 .材料と方法

1-1 一般情報

2015年1月から7月に当院の婦人科クリニックに入院した計60名の腟炎患者を研究対象としました。
本研究は、当院の医療倫理委員会の承認を得ており、参加者全員がインフォームドコンセン トを得ています。
腟炎の診断基準:
  1. ①腟分泌物が灰白色で粘性があり均一であること、
  2. ②アンモ ニア検査が陽性であること、
  3. ③腟のpH値>4.5であること、
  4. ④分泌物の手がかりとなる細胞が陽性であること。
上記4項目のうち、3項目以上で診断が確定しますが、4項目目が必要な診断基準 となります。
患者の年齢は23~67歳、平均(35.3±4.8)歳、病気の経過は1~14ヶ月、平均 (4.5±1.3)ヶ月、そのうちトリコモナス腟炎28例、老人性腟炎19例、非特異性腟炎13例、主な 臨床症状は、腟分泌物の増加、腟の灼熱感、痛み、痒み、腟壁の腫れ、うっ血など。
乱数 の原理に従い、60人の患者を観察群と対照群に分け、それぞれ30例ずつを観察しました。
両群間には、年齢分布、病因、経過、臨床症状などにおいて、統計的に有意な差はなく、(P>0.05)で あり、比較可能でした。
 

1-2 方法

対照群には、メトロニダゾール坐剤(商品名:樊城;Zhunzi H43021486;湖南南生薬有限公 司)を腟内投与。
0.5g/個、1個/回、1回/日、夜寝る前に外陰部を洗った後、腟後壁に入れ、 7~10日を1クールとし、合計10日間の治療を行いました。

これをベースに、観察群には低強度レー ザー治療を行いました。TC-CA半導体レーザー(湖南泰基情報技術発展有限公司提供)、出力 150W、電圧AC200-240V、レーザー波長635nm、1回の治療 スティックを直接腟内に入れて 治療、1回/d、1回30分。 5dを1コースとし、1週間後に2コース目の治療を行い、合計2コース (10d)の治療を行います。
 

1-3 観察指標と判定基準【9】について

治療後6ヶ月以内の臨床症状の改善度、臨床効果、再発率を2群間で比較。
臨床効果の判定基 準は、回復:症状・徴候が消失し、外陰部・腟の炎症もなく、分泌物の特性も正常、改善:症状・ 徴候が著しく減少し、外陰部・腟の炎症が著しく減少、無効:治療後も症状・徴候に変化がなく、 外陰部・腟の炎症や分泌物の特性が減少しない、あるいは悪化していること。
有効率=(治癒+ 改善)症例数/全症例数×100%。
 

1-4 統計解析

統計ソフト「SPSS 20.0」を用いてデータを解析。
カウントデータはパーセンテージ(%) で表した、グループ間の比較はχ2検定で行い、P<0.05で統計的に有意な差を示しました。
 

2 .結果

2-1 各種臨床症状または徴候の陽性率の両群間比較

各種臨床症状または徴候の陽性率は、観察群が対照群に比べて有意に低く、その差は統計学的に 有意でした(P<0.05)(表1)。
表1 両群間の臨床症状または徴候の陽性率の比較[n(%)]。
 

2-2 両群間の臨床的有効性の比較

観察群の有効率は対照群の76.7%に比べて96.7%高く、その差は統計的に有意でした(P< 0.05)(表2)。
表2 両群間の臨床的有効性の比較[n(%)]。
 

2-3 両群間の再発率の比較

観察群の再発率は、治療後6ヵ月後に対照群よりも低く、その差は統計的に有意でした(P< 0.05)(表3)。
表3 両群間の再発率の比較
 

3.考察

腟炎は妊娠可能な年齢の女性によく見られる感染症です。
通常の環境下では、女性の腟は弱酸性の環境にあり、自然な防御機能を持っていると言われています。
この病気の予防システムが破壊 されると、腟炎が起こりやすく、治りにくく、再発しやすくなります[10]。
腟炎の原因は多岐にわたるので、腟炎の分類も複雑です。
代表的なものとしては,細菌性腟炎,トリコモナス性腟炎, 真菌性腟炎,老人性腟炎,好気性腟炎などがあります[11- 12]。
現在のところ、完全かつ効果的 に治療できる従来の方法はないため、治療の際には包括的な治療が提唱されています。
現在の治療法は、酸性溶液で腟を洗浄したり、メトロニダゾール坐剤、富安陵カプセル、ジエチル スチルベストロール錠などの外用薬を主に使用していますが[13-14]、長期にわたる抗生物質の投与は、異状菌症を引き起こす可能性があり、また副作用もあります。
レーザーの熱効果には、ある種の電磁効果と圧力効果があります。
熱供給によって体内にエネルギーを供給しますが、その エネルギー供給率は組織の熱放散能力よりも低くなります[15]。

熱が皮膚から吸収された後、深 部組織の血液循環や組織細胞の栄養代謝を促進・改善し、組織や細胞の酵素の活性を高め、身体 の免疫機能を向上させることで、血行促進、鎮痛、抗炎症、腫れの効果を得ることができるのです。
また、レーザーはエネルギー密度が高いという特徴があります。照射後に活性化した生体分 子は、レーザーのエネルギーを蓄え、ゆっくりとした光生物学的効果を継続することができます。
低強度レーザーの生物学的効果についての最も一般的な議論は、フリーラジカルのメカニズムです。
多くの実験で、低強度レーザーがフリーラジカルを誘発することが確認されています [16]。
低強度レーザーは、高エeエネルギーで病変部を破壊するのではなく、特定の波長を介してヒトの血液タンパク質を活性化することで、抗ウイルス物質の生成、エネルギー代謝や微小循環の促進、炎症や滲出液の減少、組織修復の促進などの効果が期待できます。
同時に、赤血球中の スーパーオキシドディスムターゼの活性を活性化し、サイクリックアデノシン一リン酸などのグル ココルチコイドの分泌を促進することで、抗菌、抗炎症、細胞性免疫の調整などの効果を発揮します[17]。
本研究の結果,観察群の臨床症状の改善率と臨床治療の有効率は対照群に比べて有意に高く,再 発率も対照群に比べて低かったことから,レーザーは腟炎の治療においてより大きなメリットが あることが示唆されました。
その理由は、レーザー照射によって、チトクロームオキシダーゼや細胞 内サイクロトリカルボキシラーゼの活性が高まり、DNA-RNA-タンパク質系の活性が強化され、腟上皮細胞の分裂・増殖が促進されるためと考えられます。
同時に、レーザー照射は、細胞の内 外の環境を変化させる。腟上皮細胞によるグリコーゲン合成速度の上昇を促し、白血球の貪食能 力を強化し、腟内のpH値を低下させて腟の抵抗力を向上させます。
以上のことから、腟炎の治療に低強度レーザーを用いることで、臨床症状の大幅な改善、臨床効 果の向上、再発率の低下が期待でき、明らかな副作用もありません。臨床応用の価値があると思います。
 

[参考文献]

[1] Shi Xiaoyan, Wang Feng. 老人性細菌性腟炎65例に対するエストロゲン軟膏と組み合わせた 白膠ローションの臨床効果の観察[J]. 現代診断と治療, 2014, 14 (15): 3414-3415. [2] Lu Hongyan, Zhang Junping, Gong Jingyan. 老人性腟炎の治療におけるメトロニダゾール 坐剤とプレマリン軟膏の併用[J]. Disease Surveillance and Control, 2014, 11(12): 782-783. [3] 邱二泉,王世強,任麗順.妊娠中の真菌性腟炎の治療における宝福康座薬と乳酸菌腟カプセル の併用の臨床観察[J]. 現代実用医学, 2014, 14 (10): 1288-1289.
[4] Zheng Liqin, Wang Yuhua, Qiu Caimin, et al. 軟骨細胞の増殖に対する低強度レーザーのバ イオスティミュレーション[J]. Optoelectronics-Laser, 2015, 16(2): 397-402. [5] デュ・メイヤン. 腟炎のマイクロ波とCO2レーザー治療の臨床観察[J]. 包頭医科大学雑誌, 2015, 25(5): 95-96.
[6] 孫燕紅,張英鵬.中国伝統医学と西洋医学の統合により治療したトリコモナス腟炎の105例 [J]. 中国実用医学, 2016, 14(8): 174-175.
[7] 劉小光,崔芳芳,呂建良.肥満の女子大生に対する低強度レーザーと有酸素運動の併用による 減量効果[J]. Journal of Physical Education, 2012, 21(4): 129-133.
[8] Zheng Liqin, Wang Yuhua, Chen Xiaogang, etc. 低強度レーザー治療のメカニズムにおけ る新たな進展[J]. Chinese Journal of Laser Medicine, 2014, 15(5): 233-241. [9] 劉陳義、胡斌娜、段瑞など。血管内低強度レーザー照射療法の研究概要[J]. Chinese Journal of Physical Medicine and Rehabilitation, 2010, 10 (4): 284-287.
[10] Li Lijun. 2型糖尿病患者における低強度レーザー鼻腔内照射の血行促進効果[D]. 広州。広州 中医薬大学, 2012.
[11] 黄玲. 細胞のテロメアDNAの長さに対する低強度レーザーの効果に関する実験的研究 [D]。南寧: 広西医学大学, 2012.
[12] 張振栄、張健.再発した外陰部腟カンジダ症48例を単剤または複合剤で治療した場合の有効 性分析[J]. 中国臨床医学雑誌, 2004, 11(5): 817-819.
[13] 葉春波.組換えヒトインターフェロンα-2b腟用発泡カプセルの閉経後腟炎の内部環境に対 する効果[日]。河北医科大学雑誌, 2011, 28 (9): 1015-1017.
[14] 寧心心(ニンシンシン).真菌性腟炎の治療における内服薬と外用薬の有効性の比較分析 [日]. 現代中国医師、2015年、53(22):57-59。
[15] アマングリ・アブドゥレクシティ.トリコモナス腟炎の治療におけるオルニダゾールの臨床 経験[J]. Chinese Medical Innovation, 2011, 14 (14): 139-140.
[16] ペイ・ホン、フオ・ホンイン、ロン・ギーゼンなど。腟炎患者の改善に対する健康教育の効 果[J]. 中国医学ガイド, 2011, 13(4): 22-23.
[17] 李建愛、郭志忠.中西統合医療で治療したトリコモナス腟炎の45例[日]. 中国民間療法, 2011, 9(1): 55.
 

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