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公開日:2019/05/05
最終更新日:2021/05/10

【デリケートゾーンケア(腟ケア)】女性のカラダの「核(コア)」の部分を健康に美しく保つ秘訣

記事監修

八田 真理子
聖マリアンナ医科大学医学部
日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本女性医学学会専門医、日本抗加齢医学専門医

投稿日:2019年5月5日 更新日:

【デリケートゾーンケア(腟ケア)】女性のカラダの「核(コア)」の部分を健康に美しく保つ秘訣

「腟が若々しく美しい人は、見た目も若々しい」

若々しく美しい腟になるためには、顔や肌に大切な女性ホルモンと上手に生きていく必要があります。腟が健康を維持できるのは腟内部の粘膜にいる常在菌・デーデルライン桿菌が腟内の環境を整えています。デーデルライン桿菌(乳酸菌)で、「善玉菌」です。「善玉菌」は乳酸菌を作り出す性質があります。
 
健康な腟内には、デーデルライン桿菌が大量に存在していて、菌により酸性に保たれています。腟内を酸性に整えることで体外からの雑菌をバリアして防ぐことができます。これを「腟の自浄作用」といいます。
 

腟内を酸性に保つことが腟健康の鍵

仕事やプライベートでストレスがかかり、また生活リズムが崩れると、ホルモンバランスが崩れることが多くなります。そうするとデーデルライン桿菌の活動が低下することで善玉菌が少なくなり、腟内を酸性に維持することが難しくなりアルカリ性に近づいてしまいます。そのため腟内を雑菌からバリアで防ぐことができなくなり、炎症を起こしたり腟カンジダ症や腟トリコモナス症、クラミジアや淋菌などの感染症にかかったりと、腟内の環境が悪くなります。

閉経後性器尿路症候群(GSM「Genitourinary Syndrome of Menopause」)は、膣乾燥やかゆみ、性交疼痛、尿漏れなどを引き起こします症候群です。

女性の閉経後は、女性ホルモンの低下によって腟内部が乾燥し、傷つきやすくなる状態に陥ることがあります。およそ50%の人に起こることの腟萎縮症は、近年では性器尿路症候群として認められるようになりました。
 

そこで大切なのが腟ケア

デーデルライン桿菌を正常に稼働させるためには、女性ホルモンのバランスを良くしていくことがとても大切です。そこで大切なのが「腟ケア」です。正しい知識で腟ケアを行うことで、腟内環境を整えて県境な状態をキープしていきましょう。

腟を洗いすぎてはいけません! 正しいケアを知ってトラブル予防

腟内にかゆみが出たり不快感がある場合、おりものが多い場合などに、腟やデリケートゾーンをできるだけ清潔にしたい、しっかり洗えば何とかなると考えて、一生懸命洗う方がおられます。しかし、腟の奥のほうまで強く洗いすぎてしまうのは、腟内の自浄作用を弱めてしまいかねず、トラブルのもとになります。
腟の奥まで洗うと、腟内の自浄効果に作用するデーデルライン桿菌などの善玉菌まで洗い流してしまったり、腟内に傷をつけてしまう可能性があるからですす。腟内を洗うことで、かえって雑菌が繁殖し、腟炎などにつながるかもしれません。

おりものには、腟内の雑菌を外に出すという働きがあります

おりものが多いと確かに不快感があるでしょうが、おりものを何とかしたいと過剰に洗ってしまうと、腟を清潔にしたいという思いとは逆の方向に進みかねません。
腟内の環境を崩さず、清潔に保ちたい方は、アルカリ性の刺激成分が強い石鹸やボディーソープなどを使わないようにしましょう。こうした市販の石鹸やボディーソープで腟内を洗うと、腟内の酸性環境を壊しかねないからです。

腟やデリケートゾーンを洗うときは

石鹸やボディーソープなどを直接皮膚につけずよく泡立て、弱酸性の専用石鹸やオーガニックのウォッシュオイルなどを使うことなどが大切です。洗ったあとは、専用の保湿剤や低刺激のローションなどで腟内の潤いをカバーしましょう。こうした専用のコスメは、ドラッグストアや通販などで手に入れることができます。自分の身体に合うものを選ぶようにしてください。
 
また、デリケートゾーンをしっかり洗えるトイレの温水洗浄便座を使う際も、あまり腟の中を洗いすぎず、さっと洗い流す程度でとどめるようにしましょう。日ごろから腟内を洗いすぎると、腟内の自浄作用を損なってしまうかもしれないからです。
 
腟やデリケートゾーンに関して気になることがある方は、自己判断で間違ったケアをしてしまわないよう、産婦人科の専門医に相談してください。

あなたの腟は平気?腟のチェックリスト10

□デリケートゾーン(外陰部)がかゆい
□デリケートゾーン(外陰部)がただれている
□デリケートゾーン(外陰部)が赤い
□デリケートゾーン(外陰部)に水ぶくれがある
□デリケートゾーン(外陰部)にボツボツがある
□おりもののにおいがキツく感じる
□おりものの色が違う
□おりものが泡立っているようにみえる
□おりもの白くてチーズ?!みたいになっている
□おりものの量が多すぎる


※一つでも当てはまるものがあれば婦人科を受診してください。

腟ケアや治療法ってどんな方法がありますか?

現在、婦人科や産婦人科で行われている一般的な治療やケア法は、様々な種類があります。
これらの治療やケア法は、昔から行われていますが、必ずしもすべての方に満足できる方法という訳ではありませんです。高血圧や乳がん、子宮がん既往などがあり、これらの治療法を選択できない場合もあります。

HRT(ホルモン補充療法)

肌に貼るパッチや経口による摂取、皮膚に塗って使用するジェルなど、色々な種類があります。腟の不快感の症状のみの場合は乳がんへのリスクも考えが局所投与の腟錠(エストロゲン製剤など)やエストロゲンクリームの塗布をオススメします

エストロゲンクリーム(軟膏)

デリケートゾーン(外陰部)ににってエストロゲンを補充するクリームです。萎縮性腟炎からくるかゆみに効果が期待できます。局所投与のため、乳がんなどのリスクはないので、安心して使用できます。

腟錠

性交痛(セックス時の痛み)や腟炎の予防や解決策には腟内に直接いれて使用する腟錠が効果が期待できます。こちらもエストロゲンクリーム同様に局所投与なので、乳がんなどのリスクがなく安心して使用できます。

デリケートゾーン用クリームとオイル

デリケートゾーン(外陰部)の乾燥対策には、専用のクリームやオイルなどでの保湿も効果が期待できます。お風呂上がりにぬることで、乾燥による痛み・かゆみから守ることができます。

潤滑ゼリー

性交痛(セックス時の痛み)を最も抱えているのが60代前半の女性です。約9割の方が痛みを抱えているというデータも。潤滑ゼリーを使用することで、うるおい不足による性交痛。また自転車のサドルや下着の擦れなどの痛み・かゆみを防ぐことも期待できます。

腟レーザー治療

超音波、高周波、CO2フラクショナルレーザー、YAGレーザーを腟内に照射して、腟のゆるみ、尿漏れ(尿失禁)腟の乾燥、性交痛、などの症状を改善できる最新のレーザー治療もあります。

会陰マッサージ

会陰(外陰部と肛門の間)部分をマッサージしてやわらかくほぐし、できるだけお母さん、赤ちゃんの負担を軽減しようというケア方法です。

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  • 腟レーザー
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