産後12ヵ月の初産婦における性交失禁と腟症状および骨盤底筋機能との関係:横断的研究(原題:Coital Incontinence and Vaginal Symptoms and the Relationship to Pelvic Floor Muscle Function in Primiparous Women at 12 Months Postpartum: A Cross-Sectional Study)
The Journal of Sexual Medicine, 第12巻, 第4号, 2015年4月, 994-1003ページ,
掲載2015年04月01日号
https://academic.oup.com/jsm/article-abstract/12/4/994/6980219?redirectedFrom=fulltext
はじめに
産後の性機能障害に関連する症状は文献でほとんど取り上げられておらず、骨盤底筋(PFM)機能との関連はほとんど不明である。
目的
本研究の目的は、産後12ヵ月の初産婦を調査し、(i)性交失禁、腟症状、および性的事項の有病率と煩わしさ、および(ii)性交失禁および腟症状が腟安静時圧(VRP)、PFM筋力、および持久力と関連しているかどうかを検討することであった。
方法
ICIQ(International Consultation on Incontinence Modular Questionnaire)の性的問題モジュールとICIQ-Vaginal Symptoms Questionnaireを、それぞれ性器失禁、腟症状、性的問題に関する質問に使用した。PFM機能はマノメーター(Camtech AS, Sandvika, Norway)で評価した。
主要アウトカム評価項目
性器失禁、腟症状、PFM機能を主要評価項目とした。
結果
177人の初産婦、平均年齢28.7歳(標準偏差[SD]4.3)が参加した。性交経験のある94%の女性のうち、性交失禁は1.2%に認められたが、34.5%が初産婦の性生活を妨げる腟症状を少なくとも1つ報告した。調査した症状のうち、「腟が乾いた感じがする」、「腟が痛む感じがする」、「腟が緩んだり弛んだりする」が最も多かったが、女性の性生活に対する全体的な影響は、10段階中平均1.4(SD 2.5)と、ほとんど気にならない程度であった。「腟が緩んだり弛んだりする」と報告した女性は、その症状のない女性と比較して、VRP、PFMの強さ、持久力が低かった。
結論
産後12ヵ月の性交失禁はまれであったが、性生活に支障をきたす腟症状の有病率はより一般的であった。本研究の初産婦の大多数は、産後12ヵ月時点で性交渉があり、性生活に対する全体的な悩みは少なかった。「腟が緩んでいる、弛んでいる感じがする」と報告した女性は、その症状のない女性と比較して、VRP、PFMの強さ、持久力が低かった。