恥ずかしがらずに、もっとセックスの話をしよう!
もっとも、「クリトリス革命」は世の中の男性を敵に回すことが目的では全くありません。「性」についてもっと本気で語るために、ほとんどの女性が女性器については「初心者」であるため、解剖学的な視点も交えて解き明かすことを考えています。また、性差別や女性の生き方について、新しい視点での提案だけではなく、異性であるあなたのパートナーにクリトリスの大切さをわかってもらうというのも目的のひとつなのです。
さらにパートナーとのセックスとの向き合い方、いままでタブー視されてきた快楽との向き合い方を見直すことで、パートナーとの相互理解を深め、もっと快楽としてのセックスを楽しむことを第一に勧めているのです。
とはいっても、なかなか社会の中で「性」を口にするのは難しいものです。私自身、この仕事を引き受けたときは、その書名を口にするだけで胸が張り裂けそうにドキドキしました。
果たして自分は訳者として適役なのだろうかと自分自身に問い正したりもしました。第一、自分は一介の翻訳家にすぎず、フェミニズムの専門家でもなければ、活動家でもないのです。
そんな時、私の背中を押してくれたのが、ロクサーヌ・ゲイの『バッド・フェミニスト』(野中モモ訳、亜紀書房)という本や、チママンダ・アディーチェの『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』(くぼたのぞみ訳、河出書房新社)でした。
ここで私は「女性器や性に関する本は、フェミニズムは専門家や活動家だけのものじゃない。誰もが読める本にしよう」と思ったことで、この本との向きあい方や、性についての考え方も、その形が見えてきたと言えます。
また、一女性として、女性が女性であるというだけで、つらい思いをしなくてすむ社会、そして女性であることを楽しみ、誇りに思える世の中になって欲しいと痛切に思います。
ならば、性のこと、性器のことをまずは女性自身がもっと知ること、知って自分の身体を好きになることが一番大事ではないだろうかということに気づいたのです。
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