経腹腔メッシュインプラントを用いた骨盤臓器脱に対する腟手術後の女性性機能の前向き追跡調査(原題:Prospective Follow-Up of Female Sexual Function After Vaginal Surgery for Pelvic Organ Prolapse Using Transobturator Mesh Implants)
The Journal of Sexual Medicine誌、第8巻、第3号、2011年3月、914-922ページ、
https://doi.org/10.1111/j.1743-6109.2010.01959.x
発行日2011年03月01日
はじめに
骨盤臓器脱修復のための経尿道的メッシュインプラントの使用は安全かつ効果的であることが示されているが、腟内に人工材料が存在することで性機能に悪影響を及ぼすのではないかという懸念が存在する。
目的
有効な質問票を用いて経尿道的尿道メッシュ移植が性機能に及ぼす影響を評価すること。
主要評価項目
性機能の6つの領域(欲求、興奮、潤滑、オーガズム、満足、疼痛)を評価する有効な19項目の質問票である女性性機能指数(FSFI)を用いた。質問票は術前、術後3、6、12、24ヵ月目に実施された。各時点で臨床データも記録した。
方法
骨盤臓器脱(膀胱瘤、直腸瘤、腟穹窿脱)の女性96人を含む前向き非ランダム化研究。経腟的メッシュインプラントを用いた経腟的前壁または後壁修復術と経腟的スリング術の併用の有無。
結果
平均年齢は51.4±5.2歳。平均手術時間は47.6±23.4分、平均入院期間は3.8±1.6日であった。最初の3ヵ月間は性機能の低下がみられたが、その後は順調に改善した。術後24ヵ月の時点で、FSFIスコアの合計平均値はベースラインと比較して有意に高い値に達した(P= 0.023)。さらに、無痛性交は追跡調査中に改善し、2年後の平均スコアは4.27±0.79(P< 0.05)に達した。2年後の骨盤底検査では、手術成績は良好で、II期の腟壁脱を呈した患者は3.1%のみであった。
結論
メッシュインプラントを用いた症候性骨盤臓器脱の外科的修復により、性機能の主要パラメータが改善した。術後数ヵ月間の性交時痛の悪化は、治癒が完了する3ヵ月後には軽減する。