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日ごろ悪さをしない菌が「悪さをする菌」に変わることも
「カンジダ菌」は、日和見菌の例の最たるもので、身体に常に存在する常在菌のひとつです。皮膚や腸内、腟内などに棲みついており、だれの身体にもいますが、常に悪さをしているわけではありません。ところが、ホルモンバランスが崩れてしまったり、生活習慣の変化があったり、免疫力が低下したりといった身体の変化で、カンジダ菌は急に悪さをし始めます。
たとえば、あなたが何らかの抗生剤を服用したり、性器を過剰に洗いすぎたりすると、腟内フローラのバランスが崩れ、日和見菌であるカンジダ菌が異常に増殖して、「腟カンジダ症」を発症してしまうのです。
腟カンジダ症の症状は大きく2つあります
①外陰部と腟のかゆみです。
②ヨーグルトやカッテージチーズのようにも見える、白濁した多量のおりものです。
腟ガンジダ症のかゆみがひどくなると、かゆみだけでなく、痛みを伴って感じられるようになります。性交時に痛みを感じるようにもなるでしょう。日和見菌であるカンジダ菌は、体調や免疫力が回復すると悪さをやめます。いったんこうした症状が出ても、腟内環境が改善すると数日して自然に治ることがあるため、婦人科を受診しないまま何度も再発を繰り返すケースが多数見られます。
これは、カンジダ菌が腟内に常在している日和見菌で、体調が崩れれば、いつでも悪さを再開するからです。
デリケートゾーンの病気はセックス以外でも感染します
腟やデリケートゾーンの病気は、セックスすることで感染すると考えている人が大半かもしれません。確かに、セックスの際に感染することが多いのは事実ですが、「セックスしなければ感染しない」とは言えないのです。腟カンジダ症もこうした腟の症状のひとつですが、この原因は、全ての女性の腟内に常在するカンジダ菌です。カンジダ菌による日和見感染が原因であり、セックスの有無にまったく関係ありません。ある調査によると、10代から50代の女性の18%(およそ5人に1人)が腟カンジダ症を発症しているそうです。しかしこれは、あくまで婦人科などを受診し、診断を受けた数。放置していても症状が治まることがあるため、実際の罹患率は、もっと高いはずです。
腟カンジダ症以外にも、セックスとは無関係に発症する病気は数多くあります。そのひとつが、悪臭を伴うおりもの、腟周りの炎症・かゆみといった症状が出る「腟トリコモナス症」です。セックスでも感染しますが、体力が落ちていたり、免疫機能が低下している人は、腟の自浄作用の低下によって、温泉や銭湯、プールなどで感染してしまうケースがあります。
こうした場所で腟にさまざまな雑菌が侵入し、腟やデリケートゾーンなどに炎症を引き起こすこともあると知っておけば、「セックスしていないから腟の病気にはかからない」といった思い込みを排除できます。これによって婦人科の受診が早まれば、症状も早期に治癒できます。セックスしていなくても腟の病気に罹患する可能性があることを、ぜひ覚えておいてください。
かゆみやおりものの変化といった不快な症状を予防するには?
腟ケアを行い、腟内環境をよい状態に保つこと。また、いったん症状が出た場合は、すぐに婦人科を受診し、医師による適切な治療を受けることです。なかなか婦人科を受診できないのに、腟カンジダ症を再発してしまったという方は、市販の腟カンジダ再発治療薬を服用するのもひとつの手です。「エンペシドL」などは、ドラッグストアなどでも簡単に手に入れることができ、医師が処方する医療用医薬品と同じ抗真菌成分「クロトリマゾール」と「オキシコナゾール硝酸塩」が配合されています。
使い方も簡単で、外陰部を清潔にし、腟内に入れるだけ。発泡しながら腟内にすみやかに成分が行きわたり、カンジダ菌の増殖を抑えてくれます。
しかしここでご注意いただきたいのは、「エンペシドL」などの市販薬はあくまでも再発時の治療薬だということ。腟カンジダ症を初めて発症し、治療しなければならない場合は、まず婦人科を受診しましょう。これは、自分の身体の状態をしっかり把握し、大切にするためです。かゆみやおりものの変化などを感じたら、できるだけ早めに身体の症状や状況をきちんと把握すること。不調を感じたら、早期に対処しましょう。
腟カンジダ症が疑われるのは、次のような症状が出たときです。
・腟やデリケートゾーンに激しいかゆみやヒリヒリした痛みを感じる・腟やデリケートゾーンに灼熱感やただれ、発疹などがある
・おりものの色が白くなっている
・おりものがカッテージチーズやヨーグルトのようになっている
・性交時に出血したり痛みがある
・排尿時に痛みがある
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