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公開日:2019/12/06
最終更新日:2021/05/24

【インティマレーザーで治そう!】咳、くしゃみ、ジャンプ、重いものを持ち上げたときの尿漏れ治療【2020.1.3更新】

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投稿日:2019年12月6日 更新日:

【インティマレーザーで治そう!】咳、くしゃみ、ジャンプ、重いものを持ち上げたときの尿漏れ治療【2020.1.3更新】

この症状は尿漏れ?それとも……

年齢を経るにつれて人間の体は衰えてきます。昔できていたことができなくなることやこれまで経験したことのない事態に見舞われることもあるでしょう。
その一つに尿漏れがあります。
尿漏れは股関節の筋力が衰えることで尿道の締まりが悪くなり、ふとした拍子に尿が漏れてしまう症状です。
年配の女性にとっても無縁ではない症状といえるでしょう。とはいえ、中には筋肉の衰えではなく尿漏れを起こしてしまう人もいます。
それが今回紹介する腹圧性尿失禁です。男性にも起こりうる尿漏れと違って、こちらは女性特有の症状といえるでしょう。
腹圧性尿失禁とはどういう症状で、尿漏れとはどう違うのでしょうか。

腹圧性尿失禁はなぜ起こる?

女性にとって骨盤はとても重要な骨です。出産の際はここを通って胎児が外に出てきますし、排便の際もここが働かなければ便は出ません。
そして、排尿の調整をするのも骨盤です。骨盤がしっかりしている若いうちは排尿はスムーズに行われます。それに、尿漏れを起こすことはあり得ません。
女性の骨盤には腟が包まれているのですが、尿道はその中にさらに包まれています。こうして尿道が固定されることによってちょっとした衝動が加わっても尿は漏れないのです。
しかしながら、出産や加齢を経るにつれて骨盤の固定力を支える骨盤底筋は衰えていきます。特に出産は骨盤周辺の筋肉に相当なダメージを与えるのです。
これによって腟も不安定になり、さらにその中の尿道も不安定になってしまいます。そこへくしゃみや咳のような、強い腹圧がかかる動作が加わると、尿道が圧迫され尿が漏れてしまうのです。
これこそが腹圧性尿失禁と呼ばれる症状です。
一般的には先ほども述べたように出産後の女性、そして筋力の衰えが出てくる50代前後から女性が罹患しやすい症状とされています。

腹圧性尿失禁はどこで治せばいい?

尿漏れに悩む人が真っ先に駆け込む機関といえば泌尿器科でしょう。一般的な泌尿器科においてはこれまでメッシュ手術という治療法が採用されてきました。
メッシュ手術は比較的新しい手術で、2000年ごろ欧米で開発されたものです。日本では2005年に導入され、以来多くの泌尿器科などでこの手術が採用されてきました。
メッシュ手術の具体的な方法は、まず全身麻酔なり腰椎麻酔なりを患者に施したのち、腟を通じてポリプロビレンでできた人工メッシュを挿入していきます。これを直腸側、そして膀胱側の双方に張り付けていくことで、筋肉の代わりを務めさせるのです。
衰えた筋肉を治すのは当時ではなかなか難しかったので、こうした人工素材を代替手段として用いなくてはなりませんでした。この手術のメリットはなんといっても腟を通じて手術するということにあります。
従来の手術は一度腹部を切ったのち、腟に人工素材をあてがうというものでした。当然ながら一度切った腹部は縫い合わせなくてはいけないため、手術痕が残ってしまいます。
女性にとって肌に手術の縫い痕が残ってしまうのは少々抵抗があるでしょう。しかし、メッシュ手術ならば腹部を切る必要はありません。これによって手術痕を残すことなく症状を改善できるので、当時としては極めて画期的な手術だったのです。
もちろん腹圧性尿失禁に対しても人工のメッシュを添えるという方法は効果的でした。しかしながら、症状自体は改善したとしても、別のところで問題が起きてしまいやすい手術でもあります。
というのも、人工素材を腟に入れ込むことで筋肉が損傷を起こしてしまうという副作用が何件か報告されるようになったのです。ただ単に痛みを引き起こすというだけではなく、その後パートナーとの性生活も満足に行えなくなったという例も報告されました。
イギリスではメッシュ手術によって合併症が引き起こされているということが問題になっており、手術を受けた434人中51人が合併症を起こしたというデータも残っています。
これは2016年の論文に掲載されたことなので、決して古いデータというわけではありません。また国の医療レベルによって違いが起きるというわけでもなく、アメリカでも似たような事例は報告されています。
2006年から2013年まで行われた膀胱瘤の手術を分析していくと、その期間内で手術を受けたのは6,849人にのぼりました。そのうちメッシュ手術を受けたのは1,182人だったのですが、その内合併症を引き起こした患者は3.9%いたのです。
メッシュ手術を受けていない患者が合併症を引き起こす確率は1.8%だったので、メッシュ手術のリスクは見逃せないものとなっているのは間違いありません。2019年には人工メッシュを製造していたアメリカの会社が相次ぐ訴訟に負け続けた結果、販売停止を命じられたこともありました。
日本ではこうした明確な統計は行われていませんが、いずれにせよ多くの医療機関は見直しを行うべき時期にあります。

【インティマレーザー】メッシュ手術に変わる新たな腟レーザー治療

では、メッシュ手術に頼らずとも腹圧性尿失禁を治療する方法はあるのでしょうか?
実は、最近になってレーザーを用いた手術が注目を集めています。レーザーを肌に当てることで障害を取り除いていくという治療法は珍しいものではありません。
泌尿器科においても腟の入り口にレーザーを当てる手術法はこれまでも使われてきました。しかし、近年のレーザー手術において画期的ともいえるのが、入り口にとどまらず腟の奥深くにまでレーザーを当てられるようになった、ということにあります。
これによって何ができるのかといえば、腟の筋肉を再生できるようになったのです。腟や尿道に適度な熱が与えられると、毛細血管が活発に働きだすようになります。
そのため腟の筋肉がダメージを受けていたときよりも強くなり、根本的な治療ができるようになったのです。もちろん、レーザーによって熱を与えるからといって、腟に炎症が起きるということもありません。
メッシュ手術のように人工素材を腟に入れ込むこともしませんので、合併症の心配もないのです。特にレーザー治療の中で進化を遂げているのが、インティマレーザー(エルビウムYAGレーザー)というものです。
※腟レーザーには様々な種類があります。
インティマレーザー(エルビウムYAGレーザー)は20分ほどの手術時間で済みますので、患者への負担も少なく済ますことができます。また、単に腟を治療するだけでなく筋肉を強化していくという点で、アンチエイジング的な側面も見逃すことができないでしょう。
ただ、こうしたインティマレーザーのような腟レーザー治療を日本で行うためには一つだけ問題点があります。それは現在日本においてレーザー治療は自由診療であるという点です。
つまり、レーザー手術を行うことで発生する医療費は保険の対象外となるので、すべて患者が負担しなくてはなりません。それだけでなくこうしたレーザー機器を取り入れている医療機関のほとんどは、機器を個人輸入して自費で購入しているのです。
アメリカなどではこうしたレーザー治療を医療機関が行うことは認められているので、日本でも早急に新しい治療法が導入されることが求められます。
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【インティマレーザー】メッシュ手術に変わる新たな腟レーザー治療
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レーザー治療を開発したのはどこか?

では、インティマレーザーを開発したのはどこの国かご存知でしょうか?アメリカやイギリスのような先進国をイメージした人が多いかもしれません。
実は、このレーザーを開発したのは中央ヨーロッパの小国スロベニアなのです。スロベニアはかつてユーゴスアラビアの一部を形成している国でした。
ユーゴスアラビアは地理的にソ連に近いこともあって、社会主義的な政策を採っている地域が多くありました。しかしながら、スロベニアはその中でも独立性を保ち続け、社会主義と自由主義をミックスさせた経済体制を敷いている国でもあったのです。
これによって自由主義諸国との経済交流が活発に行われたほか、学術においても先進国の技術を積極的に取り入れることができました。ユーゴスアラビアというと、冷戦の終焉に伴って勃発した内戦をイメージする方も多くいらっしゃるでしょう。
クロアチアやボスニアヘルツェゴビナといった諸国では内戦によって多くの人々が命を落としました。しかしながら、スロベニアは内戦の中心地からは離れており、幸いにも影響は最小限に済んだのです。
冷戦が終わって以降はより周辺諸国との交流は活発になり、技術革新も進んでいきました。こうした背景が影響したことで、エルビウムYAGレーザーのような最新鋭の技術が生み出されたといってよいでしょう。
これまで問題とされていた治療法が、小国によって画期的な技術が生み出されて解決したという話は、終戦間もないころの日本を思わせるところがあります。

腹圧性尿失禁だけではない尿漏れ

これまでは女性ならではの腟や骨盤底筋が問題になって起こる腹圧性尿失禁を紹介してきました。
とはいえ、尿漏れの症状はそれだけに限りません。
たとえば、尿意はじわじわと催してくるのが普通です。
初めは股間に軽い違和感が来るものの、すぐにトイレに行くほどでもないから放っておくという人がほとんどでしょう。そしてしばらくするうちに徐々に尿意が強くなっていくので、漏れる前にトイレに行くというのが一般的といえます。
しかしながら、何の前触れもなく突然強い尿意がやってくることがあるという人は少なくありません。それでいながら、いざトイレに駆け込むと少量の尿しか出ないことやそもそも尿が出ないこともあるのです。
こうした症状は過活動膀胱と呼ばれています。
大した尿しか膀胱に溜めていないのに、膀胱の活動が活発になりすぎて強い尿を感じてしまうのです。そのほか、過活動膀胱の症状としては切迫性尿失禁頻尿が挙げられます。
切迫性尿失禁においては、膀胱が活動しすぎるあまり体の意に反して尿が漏れてしまうということが起こります。頻尿はいうまでもなく、頻繁にトイレに行きたくなる症状です。
高齢の方にとっては、夜頻尿に悩まされるということも少なくないでしょう。
テレビのCMなどではこうした過活動膀胱によるトラブルを抑えるために市販薬が宣伝されることが多くなったため、こちらのほうがなじみのある人は多いはずです。
しかしながら、どのような薬を服用するかを考えることは症状を治すうえで欠かせません。

過活動膀胱はどのように治療されているか

なぜ過活動膀胱が起きてしまうかといえば、一つには副交感神経が異常を来していることが挙げられます。
まず尿が膀胱に一定量溜まっているものの今はその時ではない、という指令が脳に伝わると交感神経が働き、筋肉が緩むすることで膀胱が拡張していくのです。
これによって多くの尿が膀胱に取り込めるようになるのですが、それを体外に放出するためには副交感神経が働かなくてはいけません。一度緩んだ筋肉をもう一度こわばらせていくために、アセチルコリンというホルモンを分泌するよう促していくのです。
アセチルコリンは膀胱にあるムスカリンという受容体と結合する性質を持っています。こういう仕組みによって我々は排尿ができるのです。
過活動膀胱に悩む人は、このアセチルコリンの分泌が過剰になっていることが考えられます。
常に筋肉を収縮させるような命令を発するホルモンが分泌されているからこそ、尿漏れが起きてしまうのです。よって、過活動膀胱を治療するためには、アセチルコリンの働きを抑えなくてはいけません。
医療機関で多く用いられている抗コリン薬という薬剤は、アセチルコリンが受容体と結合するのを妨げてくれます。ただ、この抗コリン薬の利用には現在疑問符が付けられているのです。
インティマレーザー

抗コリン薬を使うにあたって見逃せない副作用

もちろん抗コリン薬の効用自体は有効なものです。
抗コリン作用が初めて人類によって発見されたのは、古代インドまでさかのぼります。古代インドではベラドンナという植物が、呼吸器のトラブルを治療するのに役立つと伝承されていました。
このベラドンナは19世紀になると明確に抗コリン作用があると明らかにされ、それ以来その成分を人工で作れるように科学者たちは努力してきたのです。
とはいえ、これまでの抗コリン薬は体の特定部位にピンポイントで作用するものではありませんでした。膀胱の症状を緩和するために抗コリン薬を処方したのに、膀胱以外の場所で副作用が起こったという例があるのです。
また、こうした副作用は泌尿器科以外でも数多く報告されています。風邪薬や抗アレルギー剤、抗うつ剤などにはこうした抗コリン作用を含んだ成分が配合されているので、これまで抗コリン薬を飲んだことはない、という人はいないといってよいでしょう。
特に最近問題になっているのが、一般の人々はあまりに抗コリン薬を服用しすぎているということです。抗コリン薬を服用しすぎると、いったいどんな問題が起こるのでしょうか?
実はアセチルコリンの受容体は脳にもあります。脳内にあるアセチルコリンが受容体と結合することによって脳は覚醒作用を引き起こすのです。
ここで抗コリン薬によって受容体の働きが抑えられてしまえば、脳がうまく働かなくなることは言うまでもありません。それどころか、現在世界では抗コリン薬の取りすぎが認知症を引き起こすという研究結果さえ出ているくらいなのです。

新たなる抗コリン薬の製造に向けて

こうした副作用を起こさないためにはどうすればよいのでしょうか?
まず考えられるのが抗コリン薬の経口摂取を行わないことです。抗コリン薬を経口摂取すると薬の成分が血に溶け込みます。抗コリン薬とまざった血が膀胱にだけ行けばよいのですが、人体の血流のメカニズムはそう便利にはできていません。膀胱だけでなく脳を始めとしたその他の部位にも血が巡ってしまうのが普通です。
よってこれを防ぐために、現在ではテープを使った抗コリン薬が開発されるようになりました。湿布に薬効成分を塗り込むことで肌から筋肉へと鎮静作用を施すように、テープに薬効成分を塗り込むことで膀胱へと直接抗コリン薬を届かせていくのです。
もう一つは薬の持続時間を短くする、という方法です。これまでの抗コリン薬は持続時間が長いことが特徴でした。そうしないと膀胱が頻繁に活動するのを抑えられなかったのですが、一方で持続時間が長すぎると抗コリン成分が血に溶け込む回数も多くなっていき、副作用が起こりやすくなります。
持続時間が短くなるということは、それだけ服用回数が増えてしまうことを意味しますが、その分だけ副作用のリスクは低くなるのでこうした薬を取り入れる医療機関も増えているのです。
 

ムスカリン以外の受容体に働きかけていく薬

また、最近ではアセチルコリンではなく別のホルモンにアプローチを行えばよいのではないか、という考えも発表されるようになりました。
どんなホルモンかというと、アドレナリンです。
先ほど人が排尿を我慢しているときは交感神経が働いているという話をしました。このときに分泌されているのがアドレナリンなのです。
膀胱の筋肉にはアドレナリンの受容体が多く分布しているのですが、この受容体に刺激を与えてあげれば、抗コリン薬に頼ることなく過活動膀胱が治療できます。
もっともこの理論にもリスクがないわけではありません。アドレナリン受容体を活発にするということは、合わせて血管の収縮も促進させ血圧を上げるということも意味します。
普段から高血圧に悩んでいる人がこうした治療を受けられないのは言うまでもありません。その他の副作用として懸念されているのが生殖器に異常を及ぼさないか、という視点です。

他分野の応用例

ここまでは薬を使って過活動膀胱を治療する方法を見てきました。その一方で最近では機器を使って過活動膀胱を治療する動きも見られるようになっています。
その一つが、心臓外科ではおなじみのペースメーカーを使った方法です。ペースメーカーは不整脈の治療の一環として用いられています。
不整脈においては心臓の拍動が整わなくなり、血流が一定しなくなって最悪の場合死に至ることさえあるのです。心臓に機器を埋め込むことでこうした不整脈をコントロールできるようになるのですが、過活動膀胱においてはお尻にこうしたペースメーカーを埋め込みます。
心臓と同じように、膀胱の動きが一定のリズムでなくなったらペースメーカーが電流を流して元のリズムに戻してあげるのです。そのほか、先ほど紹介した腹圧性尿失禁を治療するために用いられているレーザー機器も過活動膀胱を治療するには有効です。
レーザー手術は女性の腟に向けてレーザーを放射するものなので、男性は利用することはできません。とはいえ、単に症状を緩和するだけでなく、体をよりよい状態に戻すという考えが膀胱にも適用できるというのは画期的なことであることは間違いないでしょう。
もちろん、こうしたペースメーカーやレーザー手術が導入されるようになってまだ日が浅いです。果たしてこうした方法に副作用はないのか、かえって症状が悪化しないか、解いた問題は慎重に見極めていかなくてはいけません。
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古い治療法も見直しが進んでいる

これまでは従来の治療法を見直して、新しい治療法を採り入れるという例ばかり紹介してきました。
しかしながら、ことわざには故きを温ねて新しきを知るという言葉があります。これまで非効率とされてきた手術が、実のところそこまで悪くもないので、改めて導入されたという例は医療界において少なくありません。
実は、泌尿器科や婦人科においては現在メッシュ手術以前の治療法に新たな光が向けられているのです。メッシュ手術以前は、ペッサリー手術というものが骨盤臓器脱の治療法として用いられていました。
ペッサリーとは、腟の中に埋め込んで骨盤の位置を矯正するためのドーナツ型の器具です。ペッサリー手術の歴史は古く、16世紀ごろにはキャスパー・ストロマイヤがワックスでコーティングされたペッサリーを開発しています。
もちろんこの時期のペッサリー手術はまだまだ発展途上で、医師によっては焼けた鉄を子宮にあてがえばびっくりして骨盤は元に戻るだろう、という記述をしていたくらいです。
年月をかけてペッサリー手術は骨盤臓器脱の主流となっていたのですが、先ほども述べたようにお腹にメスを入れなければペッサリーを付けることができないというのが難点としてありました。
よってこのペッサリーを女性が嫌った結果、メッシュ手術が導入されたという経緯があるのです。とはいえ、このペッサリーの効果は見逃せないものがあります。
なぜペッサリーを付けるかといえば、これによって骨盤を支えながら改めて骨盤底筋を鍛えることができるからです。そのためリハビリテーションをしっかりと行えるようになり、退院後の生活が楽になるのです。
近年の医療界ではただ単に症状を改善するだけでなく、退院後のクオリティ・オブ・ライフも高めなくてはいけないという意見が支配的になっています。
この点を踏まえて、ペッサリー手術こそが患者の活力を高める治療だ、という具合に見直しが進んでいるのです。

各々の症状に見合った治療法を選ぶことが求められる

もっとも、ペッサリーといえどデメリットがないわけではありません。たとえば単純に骨盤底筋が衰えているだけなら、ペッサリーは絶大なる効力を発揮するでしょう。
一方で、最初に紹介した腟の衰えによる腹圧性尿失禁を治療するためには、ペッサリーは必ずしも効果があるとはいえません。というのも、骨盤ではなく腟や子宮が下に落ちてくる症状の場合、ペッサリーはあくまでもそれらが落ちてこないようにするだけなのです。
ペッサリーを外してしまえば改めて腟や子宮は下に落ちてきてしまうのでしょう。それどころか、悪いときにはペッサリーが腟や子宮を支えきれず、腟肉などをただれさせてしまう可能性さえあるのです。
その結果生理の際の出血がひどくなってしまって、貧血を招いてしまうこともあるでしょう。そうなってしまうと改めてペッサリーを取り出すための手術も余計手間がかかってしまいます。
またペッサリーが正常に機能していても、長く使い続けていると感染症のもとになりかねません。すべての症状に対して万能な治療法というものはないのです。
そのため、まず自分がどんな症状を持っているのかをしっかりと踏まえておく必要があるでしょう。現在、日本の多くの医療機関においては、メッシュ手術が主流です。
しかしながら、最初に述べた通りメッシュ手術には看過できない医療事故が多数報告されています。お医者さんが勧めているのだから大丈夫だろう、とすぐさま手術を決めるのではなく、患者自らが主体的に治療法を選んでいく必要があるのです。
まず最寄りの医療機関で診察された際にメッシュ手術を勧められたら、セカンドオピニオンとしてほかの医療機関を受診することも考えましょう。
そこでもメッシュ手術が勧められるのであれば、リスクがあるものの自分の症状にはこれが一番合っているのだ、と考えてもよいです。
その他、かかりつけの産婦人科や泌尿器科に受診した場合は、レーザー手術やペッサリー手術を受けられるところはないか、と医師に質問してみるとよいでしょう。
医師に心当たりがあるのならば、別の医療機関を紹介してくれる可能性も十分にあります。その際は紹介状を書いてくれたうえで、症状の具合なども伝達されるでしょうから、診察はスムーズに行われるでしょう。
腹圧性尿失禁のような症状は、本来ならば複合的な観点で治療が勧められていくべきものです。
ただ単に症状を治すだけでなく、副作用や退院後の生活を見据えた治療法を医師とともに考えていくようにしましょう。

腹圧性尿失禁を予防するためには?

今、腹圧性尿失禁に困っていない方でも、加齢や出産を経ることでこの症状に悩まされる可能性はあります。
それを避けるためにも、日頃から骨盤底筋を衰えさせないための工夫が必要になってくるでしょう。一番よいのは骨盤底筋体操を試すことです。
一般的には出産後の女性のリハビリとして用いられることの多い体操ですが、出産を経験していない女性にとっても効果的といえるでしょう。
また、あわせて下半身の筋力を鍛えるためにもスクワットなどの筋トレや腟トレを取り入れるのも有効です。

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