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公開日:2021/03/29
最終更新日:2021/03/29

ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がんなど)

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ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がんなど)

性行為の経験がある女性ならそのほとんどが一生に一度は感染するといわれているのが、ヒトパピローマウイルス(HPV)です。

HPVは100以上もの種類があるごくありふれたウイルスで、セックス時にできる皮膚や粘膜の小さな傷から感染します。全てのHPVが病気を引き起こすわけではなく、リスクが高いウイルスは15種類ほど。それらのウイルスはハイリスク型と呼ばれています。一方、さほどリスクが高くないウイルスをローリスク型と呼びます。

HPVに感染したとしても、そのほとんどが一過性です。たいていの場合は自己免疫力のおかげですぐに消滅しますが、HPVが消滅せずに残ってしまうケースもまれにあります。消滅させることができずに体内に残ったまま放置していると、尖圭(せんけい)コンジロームや子宮頸がんを引き起こしかねません。

尖圭コンジロームを発症するローリスク型のHPVは6型・11型の2種類で、子宮頸がんのリスクが高いハイリスク型のHPVは16・18・31型の3種です。このうち16型・18型のHPVに感染して子宮頸がんにまで進行すると、そのスピードが通常より早い可能性があるため、注意しなければなりません。

さらに、オーラルセックスを通して咽頭(のど)などに感染する例も報告されています。この場合、咽頭がんや口腔がんなどの原因になる可能性があります。

ヒトパピローマウイルス感染症の症状

HPVに感染しても数年から数十年にわたって症状がありません。

体内に残ったHPVによっては、尖圭コンジローマや子宮頸がん、咽頭がん、口腔がんを発症する可能性があります。女性の場合は子宮頸がんの発症例がほとんどですが、男性でもクンニングスなどを通して咽頭に持続感染し、咽頭がんになる可能性があります。

ヒトパピローマウイルス感染症の治療薬

現在、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染をHPVワクチンによって予防することは可能ですが、感染したHPVを根絶する方法はありません。

HPV予防ワクチンは、子宮頸がんを予防するサーバリックス(HPV16、18型に対応)、子宮頸がんと尖圭(せんけい)コンジローマを予防するガーダシル(HPV6、11、16、18型に対応)の2種類です。

感染が判明した場合、免疫力低下につながらないよう喫煙されている方は禁煙が必要です。

【京都大学は5月18日、抗ウイルス薬「FIT-039」が抗HPV作用を示し、子宮頸部異形成の治療薬となりうることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科の萩原正敏教授と網代将彦特定助教らの研究グループによるもの。研究成果は、米がん学会誌「Clinical Cancer Research」オンライン版に掲載された.

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染により生じるウイルス性のがん。子宮頸部の上皮組織などで持続感染が成立した場合、数年の期間を経て前がん病変であるCINを経て、一部の症例では子宮頸がんに進展する。HPVワクチンの導入は、世界で進みつつあるが、日本では接種率が0.5%を下回っており、今後もCIN、子宮頸がん患者数の増加が予想される。

CINの初期段階では経過観察がとられ、進行すると外科治療(円錐切除)以外に対処法がなく、がんが進展すると子宮を全摘するしか方法がなくなる。また、CINの円錐切除では早産・流産の周産期予後リスクがあるため、薬剤等による身体を傷つけない治療法が望まれている。

CINに対する医師主導臨床試験、2018年度に開始予定

FIT-039は、研究グループがこれまでに抗ウイルス活性を見出したサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤。HPVの発がん・ウイルス複製機能を担う遺伝子は、CDK9により制御を受けていることから、今回研究グループはFIT-039による抗HPV活性を調査した。がんと関連するHPV型(おもに16・18型)は、口腔・生殖器などの粘膜上皮組織に感染するため、粘膜上皮角化細胞にHPVを導入してFIT-039の効果を検討した。その結果、細胞増殖やCINの特徴である異形成が抑えられるなど、治療効果を示すことが判明。また、マウスにおける子宮頸がん細胞のゼノグラフト腫瘍でもHPV感染腫瘍の増殖抑制が認められたという。FIT-039投与による有害事象は認められず、CINを治療してがんへの進展を予防する新薬になりうることが明らかになったとしている。現在、FIT-039は京都大学医学部附属病院皮膚科でウイルス性疣贅(いぼ)に対して医師主導による臨床試験が進められている。また、CINに対する医師主導臨床試験についても、同病院産婦人科で2018年度に実施される予定。】

医療NEWS QLifeProより抜粋

ヒトパピローマウイルス感染症の予防

ヒトパピローマウイルス感染症の予防法としてはHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の接種が有効です。

日本では接種できるワクチンは2種類ですが、いずれも性行為を始める前の接種が望ましいとされているため、12歳から16歳の接種をめどにしましょう。一度ワクチンを接種すると、その効果は20年程度持続すると予想されています。追加接種する必要もありません。

感染の可能性が高い行為

セックス、オーラルセックス、性器どうしの接触

感染の可能性が高い人

不特定の相手と性行為をしている人、性行為の経験人数が多い人、性行為のパートナーが多い人

記事監修

末武信宏
国立岐阜大学医学部
順天堂大学大学院医学研究科博士課程において学位取得,日本美容外科学会 認定専門医,国際抗老化再生医療学会 認定指導医

記事監修

丹羽咲江
名古屋市立大学医学部
日本産科婦人科学会産婦人科専門医,日本性科学会 幹事,日本性科学会認定セックスセラピスト

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