自分の意思とは関係なく起こる尿漏れに悩まされている女性は多く、40歳以上の4割が尿漏れに悩んでいると言われています。
しかし、泌尿器科に通うことが恥ずかしかったり、尿漏れというデリケートな悩みを相談する相手がいないことから、クリニックに通わずに一人で悩んでいる方が多い症状でもあります。
尿漏れに効果があると言われている、自分でできる対策の一つに骨盤底筋トレーニング(腟トレ)がありますが、本当に効果的に骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を行えているかを判断するのは難しいため、お悩みの方は一度クリニックで尿漏れについて相談することをおすすめします。
この記事では、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)に効果的でない理由、最新の骨盤底筋トレーニング、クリニックでの治療一覧を詳しくご紹介します。
尿漏れに悩んでいる方は、是非参考にしてみて下さいね。
まずは、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)に効果的でない理由をご紹介します。
この、骨盤底筋群の部位を把握していない状態で骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を行っても、どこを鍛えているのかわからず意味のない行為になってしまいます。
また、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を教えている方が骨盤底筋群の場所を正確に把握していない可能性もあり、その場合はせっかくトレーニングを受けても骨盤底筋群に効かないトレーニングになってしまっている可能性もあります。
骨盤底筋群は、便意や尿意によって緩み、排泄をしますが、妊娠や出産によって骨盤底筋群や靭帯、筋膜が伸びたり断裂したりすることによって過剰な負荷がかかり、緩める力が低下することによって尿漏れや排尿のトラブルが生じやすくなります。
骨盤底筋群は、尿道口や腟、肛門などが並ぶ中心線を境に左右に分かれていて、その左右の骨盤底筋群をしっかり意識して骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をする必要があります。
そのため、効果があるのかわからないという理由から、途中でやめてしまうという方も非常に多く、続けて行わないことで効果を感じることができない原因にもなります。
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)は、最低でも3ヵ月は継続して行う必要があります。骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を続けるのが辛くて他の治療法を探しているという方も少なくないので、効果を感じづらいことは骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をやめてしまう原因になり、結果的に意味のないトレーニングになってしまいます。
トレーニングの結果は腟圧計で測ることができますが、腟圧計を自宅で所持しているという方はあまりいないので、自宅で行っている骨盤底筋トレーニング(腟トレ)に対して効果を実証できないという点もあります。
近年では骨盤底筋に対する研究が進んでいて、いわゆる骨盤底筋群のほかに、腹横筋、多裂筋、横隔膜などの組織全体がインナーユニットとして体幹の安定に役立っているらしいということがわかってきました。
ここからは、骨盤底筋群とはどんな組織の集合体なのかについて詳しく解説していきたいと思います。
この中でも「骨盤隔膜」の中の筋肉が、尿漏れなどと深くかかわっているのです。
1肛門挙筋
肛門挙筋は内側の恥骨尾骨筋や恥骨直腸筋と、外側の腸尾骨骨筋から形成されています。
内側の恥骨尾骨筋は、肛門挙筋腱弓の内側で恥骨結合から座骨棘まで渡っている骨盤底筋膜腱弓からはじまり、腟と直腸の外側を支えて前仙尾靭帯に繋がります。
外側の腸骨尾骨筋は座骨棘から恥骨枝にわたる内閉鎖筋の筋膜の肥厚部である肛門挙筋腱弓からはじまり、尾骨先端と外側縁に繋がります。
2尾骨筋
座骨棘の内面から仙棘靭帯の内側を覆って、仙骨下部と尾骨の外側にくっついています。
以上の2つの筋肉で骨盤横隔膜はできていて、骨盤の出口を塞いでいます。
肛門挙筋は左右にある筋肉が穴が開くように結合していて、尿道や腟や直腸がここを通っています。
その穴は尿生殖隔膜で覆われています。
上下の筋隔膜からできていて、その間に浅会陰横筋・深会陰横筋・球海綿体金・坐骨海綿体筋・尿道括約筋などがあります。
腟と肛門との間にある結合組織中隔は、尿生殖隔膜の一番下にあり、会陰体もしくは会陰腱中心と呼ばれています。
球海綿体筋・浅会陰横筋・深会陰横筋・肛門挙筋・外肛門括約筋がここに繋がっています。
膀胱・子宮・腟などの骨盤内にある臓器は、筋肉だけではなく、筋膜や靭帯によってささえられて今の位置にあるのです。
ここからは、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をご紹介します。
日々の生活の中に取り入れ、毎日継続することが重要です。
果たして、本当に骨盤底筋群を鍛えると腟の締まりが良くなるのでしょうか?
結論から言いますと、骨盤底筋群を鍛えても腟の締まりが良くなる方は限定的で確実なエビデンスが存在しないということです。私はこの腟トレが腟のゆるみを根本的に改善するという理論に懐疑的です。
実際、腟が緩んでいる、つまり締まりが悪いということはどうしてそうなるか考えてみましょう。
出産時胎児をお産させるため会陰切開をされて腟口を開大された状態で創部が治癒した場合や会陰裂傷が起こってしまった場合は腟口の開大が生じることもあり、
特に陰茎の挿入の際に締め付けられるという感覚が無くなります。
腟のゆるみは腟周囲の筋肉のゆるみばかりではないのです。
粘膜面の変化もあれば出産による腟口の開大が原因の事もあるのです。
なんでもかんでも腟トレ=骨盤底筋群 → 腟の締まりが良くなる という短絡的な情報には私は疑問です。
プロアスリートのトレーナーでもある私自身、多くの女性アスリートを含め女性たちには骨盤底筋群のトレーニングの重要性を伝えインナーユニットを構成するこの部分を強化することは内臓強化にもつながり、ダイエットや老化防止や尿漏れ改善にもつながることをお伝えしています。
ただし、腟のゆるみが骨盤底筋群強化で改善するという短絡的な考えは懐疑的であり、むしろ会陰切開での腟口開大の外科的処置による改善や腟内のひだ形成いわゆるヒアルロン酸注入による腟形成術や、最近話題のGショットやインティマレーザーでの熱作用による物理的エネルギーによる組織の熱変性をきたす治療の方が確実に効果が期待できると考えます。
腟内部は粘膜でありいくら骨盤底筋群を鍛えても腟周囲の筋肉強化で粘膜まで変化させることは不可能なのです。まして性行為の時ずっと骨盤底筋群を収縮させることはできません。
このことから腟トレの目的が何かを明確にして、その有効性が腟のゆるみの改善ということであれば、骨盤底筋群強化に過大な期待を抱くべきではないと考えます。
しかし、骨盤底筋群強化はインナーユニットを強化し陰圧にすることで内臓血流をアップし尿漏れなどの悩みを改善することはある程度期待できます。
この場合のコツは、必ず肛門を意識的に締め、呼吸と連動して肛門を締める緩めるを繰り返すことです。
時に会陰部と呼ばれる腟と肛門の間の部分を意識して行うとより有効性が高まります。
腟トレは腟のゆるみ改善よりも健康目的のエクササイズとして取り組んだ方が良いでしょう。
ここからは、クリニックでの治療一覧をご紹介します。
EM(Electro-Magnetic technology(電磁))と、SELLA(椅子)を組み合わせた言葉で、その名の通り椅子に座って治療できる機械です。
服を着たまま椅子に座るだけで骨盤底筋を刺激する、メスを使わない非侵襲的治療で、治療後すぐに日常生活を送ることができます。
治療時間は30分程度で、1~2週間に1回の間隔での治療がおすすめです。海外では、患者の95%が生活の質が向上したと報告されている、期待のできる治療法です。
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このテスラフォーマーは、骨盤底筋の筋肉を鍛えることにも効果があります。骨盤底筋をバランスよく刺激し、均一に鍛えることができ、機械的な磁気刺激によって骨盤底筋の力や強さ、ボリュームを取り戻すことができます。
妊娠中の方やタトゥーのある方、金属が埋め込まれている方は使用できないので注意しましょう。1回20分程度の治療で、何度か行えるコース料金が設定されているクリニックもあります。
尿漏れの治療でレーザーが効かなかったという方も、スターフォーマーを使うことで、下半身の筋肉を強化することができ、骨盤底筋を鍛えられるので根本的な解決に繋げることができます。
腟内にハンドピースを挿入し、腟壁にHIFUエネルギーを照射することでコラーゲンの生成を促し、タイトニング作用とともに腟壁の弾力性を増加させるという治療法です。
照射ラインが点ではなく面での照射になります。何度も治療に通う必要はなく、一度の照射でタイトニングを実感することができると言われています。
チクっとした痛みを感じる方もいますが、希望によって麻酔をして照射することも可能です。2~3ヵ月遅れて効果が出て、1年程度は持続する治療です。
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骨盤底筋トレーニング(腟トレ)は骨盤底筋群の場所をしっかり把握し、継続して行わなければ意味のないトレーニングになってしまいます。
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を行う場合は、骨盤低筋群の場所を意識しながら行うことと、3ヵ月以上は継続して行うことが重要です。
継続して続けることで効果を発揮するトレーニングですが、より即効性があり、高い効果を感じることができるのは、クリニックでの施術です。
クリニックでの尿漏れ治療は、さまざまな治療法の中から自分の症状や生活に合った治療を選ぶことができ、以前までのようなメスを使った治療を行わなくても良い、機械を使った治療が増えています。
クリニックによってさまざまな治療を選ぶことができるので、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をしているけど効果が出ないと感じている方は、是非クリニックを受診してみて下さいね。
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しかし、泌尿器科に通うことが恥ずかしかったり、尿漏れというデリケートな悩みを相談する相手がいないことから、クリニックに通わずに一人で悩んでいる方が多い症状でもあります。
尿漏れに効果があると言われている、自分でできる対策の一つに骨盤底筋トレーニング(腟トレ)がありますが、本当に効果的に骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を行えているかを判断するのは難しいため、お悩みの方は一度クリニックで尿漏れについて相談することをおすすめします。
この記事では、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)に効果的でない理由、最新の骨盤底筋トレーニング、クリニックでの治療一覧を詳しくご紹介します。
尿漏れに悩んでいる方は、是非参考にしてみて下さいね。
Contents
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)に効果的でない理由
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)は、尿漏れに効果を発揮すると言われている方法ですが、この骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をしているだけでは、尿漏れを改善することは難しいと言えます。まずは、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)に効果的でない理由をご紹介します。
骨盤底筋群の部位をわかっていない
骨盤底筋群とは、骨盤の底にある、恥骨、坐骨、尾骨についている筋肉で、膀胱や子宮、直腸を支えるとともに排泄のコントロールをする役割があります。この、骨盤底筋群の部位を把握していない状態で骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を行っても、どこを鍛えているのかわからず意味のない行為になってしまいます。
また、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を教えている方が骨盤底筋群の場所を正確に把握していない可能性もあり、その場合はせっかくトレーニングを受けても骨盤底筋群に効かないトレーニングになってしまっている可能性もあります。
骨盤底筋群は、便意や尿意によって緩み、排泄をしますが、妊娠や出産によって骨盤底筋群や靭帯、筋膜が伸びたり断裂したりすることによって過剰な負荷がかかり、緩める力が低下することによって尿漏れや排尿のトラブルが生じやすくなります。
骨盤底筋群は、尿道口や腟、肛門などが並ぶ中心線を境に左右に分かれていて、その左右の骨盤底筋群をしっかり意識して骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をする必要があります。
見えない筋肉なので効果を感じづらい
見える筋肉であれば、筋トレによって筋肉がついてきていることを自分の目で確認することができるので、トレーニングを続けやすいのですが、骨盤底筋群の筋肉は見えない筋肉なので、効果を感じづらいという特徴があります。そのため、効果があるのかわからないという理由から、途中でやめてしまうという方も非常に多く、続けて行わないことで効果を感じることができない原因にもなります。
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)は、最低でも3ヵ月は継続して行う必要があります。骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を続けるのが辛くて他の治療法を探しているという方も少なくないので、効果を感じづらいことは骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をやめてしまう原因になり、結果的に意味のないトレーニングになってしまいます。
エビデンスが少ない
実際に骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を行ったことで、尿漏れが解消したというエビデンスはあるものの、数が少なく推奨できるレベルではないというのが骨盤底筋トレーニング(腟トレ)が意味のないものだという理由の一つです。トレーニングの結果は腟圧計で測ることができますが、腟圧計を自宅で所持しているという方はあまりいないので、自宅で行っている骨盤底筋トレーニング(腟トレ)に対して効果を実証できないという点もあります。
骨盤底筋群とはどんな集合体なのか
近年では骨盤底筋に対する研究が進んでいて、いわゆる骨盤底筋群のほかに、腹横筋、多裂筋、横隔膜などの組織全体がインナーユニットとして体幹の安定に役立っているらしいということがわかってきました。
ここからは、骨盤底筋群とはどんな組織の集合体なのかについて詳しく解説していきたいと思います。
骨盤底筋群
骨盤底部は上から臓側骨盤隔膜、骨盤隔膜、尿生殖隔膜といわれる隔膜の3つにわかれています。この中でも「骨盤隔膜」の中の筋肉が、尿漏れなどと深くかかわっているのです。
臓側骨盤隔膜
骨盤腔内の臓器を覆って臓器内を埋めている組織です骨盤隔膜
主に肛門挙筋と尾骨筋からできています。1肛門挙筋
肛門挙筋は内側の恥骨尾骨筋や恥骨直腸筋と、外側の腸尾骨骨筋から形成されています。
内側の恥骨尾骨筋は、肛門挙筋腱弓の内側で恥骨結合から座骨棘まで渡っている骨盤底筋膜腱弓からはじまり、腟と直腸の外側を支えて前仙尾靭帯に繋がります。
外側の腸骨尾骨筋は座骨棘から恥骨枝にわたる内閉鎖筋の筋膜の肥厚部である肛門挙筋腱弓からはじまり、尾骨先端と外側縁に繋がります。
2尾骨筋
座骨棘の内面から仙棘靭帯の内側を覆って、仙骨下部と尾骨の外側にくっついています。
以上の2つの筋肉で骨盤横隔膜はできていて、骨盤の出口を塞いでいます。
肛門挙筋は左右にある筋肉が穴が開くように結合していて、尿道や腟や直腸がここを通っています。
その穴は尿生殖隔膜で覆われています。
尿生殖隔膜
尿生殖隔膜は、恥骨結合と両側の座骨結節の間にあります。上下の筋隔膜からできていて、その間に浅会陰横筋・深会陰横筋・球海綿体金・坐骨海綿体筋・尿道括約筋などがあります。
腟と肛門との間にある結合組織中隔は、尿生殖隔膜の一番下にあり、会陰体もしくは会陰腱中心と呼ばれています。
球海綿体筋・浅会陰横筋・深会陰横筋・肛門挙筋・外肛門括約筋がここに繋がっています。
膀胱・子宮・腟などの骨盤内にある臓器は、筋肉だけではなく、筋膜や靭帯によってささえられて今の位置にあるのです。
巷で話題の骨盤底筋トレーニング(腟トレ)
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)は、しっかり骨盤底筋群の位置を把握し、意識しながら行うことが重要とされています。ここからは、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をご紹介します。
基本的な骨盤底筋トレーニング(腟トレ)
基本的な骨盤底筋トレーニング(腟トレ)は以下のように行います。- 仰向けに横になり、両足を肩幅程度に開き両膝を立てる
- 尿道、肛門、腟をキュッと締めたり緩めたりを2~3回繰り返す
- 次にゆっくりギュッと締め3秒ほど停止する
- 最後にゆっくり緩める
日々の生活の中に取り入れ、毎日継続することが重要です。
一緒に行うと効果の高いトレーニング
自宅で簡単に行える、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)と一緒に行うことで効果が高まるトレーニングをご紹介します。スクワット
スクワットは以下のように行います。- 足を肩幅に開く
- 腹筋に力を入れる(このとき骨盤底筋にも力を入れる)
- 背筋を伸ばした状態でゆっくりと腰を落とす
- 最初の位置に戻る
バードドッグ
バードドッグは以下のように行います。- 四つん這いの状態で、手は肩幅、膝は腰幅に開く
- 背骨が一直線になるようにして下を向く
- お腹に力を入れて背中を張って骨盤底筋を締める
- 右手と左足を同時に真っ直ぐになるまで持ち上げて5秒キープ
- 手と足をゆっくり戻して最初のポーズに戻る
- 左手と右足を同じように行う
ヨガのポーズを取り入れる
ヨガには骨盤底筋群を鍛える効果のあるポーズがいくつかあります。骨盤を意識しながら、ゆったりした気分でヨガを行ってみましょう。杖のポーズ
杖のポーズは以下のように行います。- 足を前に伸ば長座の姿勢になる
- 坐骨をしっかり床に根付かせて、骨盤を地面から垂直に立てる
- お尻の穴を引き締めるように上に持ち上げる
- 背筋を伸ばして姿勢を保持する
猫の伸びのポーズ
猫の伸びのポーズは以下のように行います。- 四つん這いになって膝をお尻の真下に置く
- お尻の穴を締めて胸に引き上げるよう骨盤底筋を使う
- 手を前に滑らせながらおでこを床に付ける
橋のポーズ
橋のポーズは以下のように行います。- 仰向けになり膝を立てる
- お尻の穴を締めて胸の方へ引き上げる
- 手のひらを下に向けてお尻の横の床に添える
- お尻を地面から持ち上げる
医師であり、プロボクシングトレーナーでもある元日本美容外科学会会長による腟トレの考察
上記にあるように、巷で腟の締まりをよくするためには腟トレという方法で骨盤底筋群を鍛えればよいという情報がネットでもあふれ、それをあたかも魔法のように提唱する医師がいます。果たして、本当に骨盤底筋群を鍛えると腟の締まりが良くなるのでしょうか?
結論から言いますと、骨盤底筋群を鍛えても腟の締まりが良くなる方は限定的で確実なエビデンスが存在しないということです。私はこの腟トレが腟のゆるみを根本的に改善するという理論に懐疑的です。
実際、腟が緩んでいる、つまり締まりが悪いということはどうしてそうなるか考えてみましょう。
腟のゆるみの多くは出産が原因?
経産婦と出産の経験がない女性の腟の腟口や内部のひだの状態などは明確に異なります。出産時胎児をお産させるため会陰切開をされて腟口を開大された状態で創部が治癒した場合や会陰裂傷が起こってしまった場合は腟口の開大が生じることもあり、
特に陰茎の挿入の際に締め付けられるという感覚が無くなります。
腟のゆるみは腟周囲の筋肉のゆるみばかりではないのです。
アスリート並のトレーニングが必要?
もし骨盤底筋群の強化だけで腟の締まりを良くすることを考えるのであれば、アスリート並みのトレーニングが必要と考えられます。粘膜面の変化もあれば出産による腟口の開大が原因の事もあるのです。
なんでもかんでも腟トレ=骨盤底筋群 → 腟の締まりが良くなる という短絡的な情報には私は疑問です。
プロアスリートのトレーナーでもある私自身、多くの女性アスリートを含め女性たちには骨盤底筋群のトレーニングの重要性を伝えインナーユニットを構成するこの部分を強化することは内臓強化にもつながり、ダイエットや老化防止や尿漏れ改善にもつながることをお伝えしています。
ただし、腟のゆるみが骨盤底筋群強化で改善するという短絡的な考えは懐疑的であり、むしろ会陰切開での腟口開大の外科的処置による改善や腟内のひだ形成いわゆるヒアルロン酸注入による腟形成術や、最近話題のGショットやインティマレーザーでの熱作用による物理的エネルギーによる組織の熱変性をきたす治療の方が確実に効果が期待できると考えます。
腟トレの限界?
腟のゆるみの改善という事だけであれば自分で行う腟トレには限界があり、むしろ専門医で腟形成治療を受けたほうが時間も労力も無駄にならないと考えます。腟内部は粘膜でありいくら骨盤底筋群を鍛えても腟周囲の筋肉強化で粘膜まで変化させることは不可能なのです。まして性行為の時ずっと骨盤底筋群を収縮させることはできません。
このことから腟トレの目的が何かを明確にして、その有効性が腟のゆるみの改善ということであれば、骨盤底筋群強化に過大な期待を抱くべきではないと考えます。
しかし、骨盤底筋群強化はインナーユニットを強化し陰圧にすることで内臓血流をアップし尿漏れなどの悩みを改善することはある程度期待できます。
この場合のコツは、必ず肛門を意識的に締め、呼吸と連動して肛門を締める緩めるを繰り返すことです。
時に会陰部と呼ばれる腟と肛門の間の部分を意識して行うとより有効性が高まります。
腟トレは腟のゆるみ改善よりも健康目的のエクササイズとして取り組んだ方が良いでしょう。
文
さかえクリニック
院長 末武信宏
クリニックでの治療一覧
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)は、続けることで効果を発揮しますが、クリニックでの治療の方が即効性があり、しっかり尿漏れを治すことができます。ここからは、クリニックでの治療一覧をご紹介します。
エムセラ
エムセラは、骨盤底筋を鍛える機械で、2020年から日本でも発売になったという新しい治療器具です。保険適応はありませんが、尿失禁や性機能障害にも適応する機器として注目されています。EM(Electro-Magnetic technology(電磁))と、SELLA(椅子)を組み合わせた言葉で、その名の通り椅子に座って治療できる機械です。
服を着たまま椅子に座るだけで骨盤底筋を刺激する、メスを使わない非侵襲的治療で、治療後すぐに日常生活を送ることができます。
治療時間は30分程度で、1~2週間に1回の間隔での治療がおすすめです。海外では、患者の95%が生活の質が向上したと報告されている、期待のできる治療法です。
クリニック一覧
東梅田内本泌尿器科の紹介ページマリポサビューティークリニックの紹介ページ
福間産婦人科クリニックの紹介ページ
テスラフォーマー
テスラフォーマーはボディフォーミング用の機器で、筋肉の収縮を刺激するのですが、EMSよりも深い筋肉に強力に作用するので、筋肉を鍛えながら脂肪を燃焼させることができる機器として人気です。このテスラフォーマーは、骨盤底筋の筋肉を鍛えることにも効果があります。骨盤底筋をバランスよく刺激し、均一に鍛えることができ、機械的な磁気刺激によって骨盤底筋の力や強さ、ボリュームを取り戻すことができます。
妊娠中の方やタトゥーのある方、金属が埋め込まれている方は使用できないので注意しましょう。1回20分程度の治療で、何度か行えるコース料金が設定されているクリニックもあります。
クリニック一覧
シャルムクリニック(オフィシャルサイト)スターフォーマー
スターフォーマーは下半身強化が行える椅子形式の機器で、電磁パルスアプリケーターが設置されていて、鍛えたい筋肉を選択して鍛えることができる最新の装置です。尿漏れの治療でレーザーが効かなかったという方も、スターフォーマーを使うことで、下半身の筋肉を強化することができ、骨盤底筋を鍛えられるので根本的な解決に繋げることができます。
クリニック一覧
大分泌尿器科病院の紹介ページyoniHIFUの紹介
yoniHIFUは高密度焦点式超音波を使用していて、体の表面に傷をつけずに内部だけを高温にすることが可能な機器です。腟内にハンドピースを挿入し、腟壁にHIFUエネルギーを照射することでコラーゲンの生成を促し、タイトニング作用とともに腟壁の弾力性を増加させるという治療法です。
照射ラインが点ではなく面での照射になります。何度も治療に通う必要はなく、一度の照射でタイトニングを実感することができると言われています。
チクっとした痛みを感じる方もいますが、希望によって麻酔をして照射することも可能です。2~3ヵ月遅れて効果が出て、1年程度は持続する治療です。
クリニック一覧
eクリニックの紹介ページグランジョイクリニックの紹介ページ
まえだ婦人科クリニックの紹介ページ
腟レーザー、腟ハイフ導入を検討しているクリニックへ
yoniHIFUは医師が開発したレーザー治療です。詳しく見たい方はこちら>>
まとめ
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)に意味がない理由、最新の骨盤底筋トレーニング(腟トレ)、クリニックでの治療一覧を詳しくご紹介しましたが、参考になりましたか?骨盤底筋トレーニング(腟トレ)は骨盤底筋群の場所をしっかり把握し、継続して行わなければ意味のないトレーニングになってしまいます。
骨盤底筋トレーニング(腟トレ)を行う場合は、骨盤低筋群の場所を意識しながら行うことと、3ヵ月以上は継続して行うことが重要です。
継続して続けることで効果を発揮するトレーニングですが、より即効性があり、高い効果を感じることができるのは、クリニックでの施術です。
クリニックでの尿漏れ治療は、さまざまな治療法の中から自分の症状や生活に合った治療を選ぶことができ、以前までのようなメスを使った治療を行わなくても良い、機械を使った治療が増えています。
クリニックによってさまざまな治療を選ぶことができるので、骨盤底筋トレーニング(腟トレ)をしているけど効果が出ないと感じている方は、是非クリニックを受診してみて下さいね。
詳しく知りたい方はfemtify公式LINEアカウントへお友達登録をお願いします